「とり」と名乗るゾウ

前回の酉年だったか、前々回だったかいつのかは忘れたけど、お正月のニュース番組で、様々な場所で酉年を祝う中継がされていた。

どこの動物園だったかコレも忘れたけど、どうやら文字を書けるゾウがいたらしく、ゾウの「書き初め」の様子が映されていた。

鼻に筆を持たされたゾウが、自分の顔より少し小さいぐらいの白いキャンパスに、ひらがなで「とり」。。。

と、書いてギャラリーからは歓声が上がっていた。

いや、君は「とり」じゃない、ゾウだ、しっかりしろ。心の中でつぶやいた。

墨汁だか絵の具だかを付け過ぎたのか、白いキャンパスに書かれたまるで初めて字を覚えた子どもが書いたような「とり」の文字から、ところどころ黒い液体が滴り落ち、ホラー漫画のタイトルや昔々のお化け屋敷などでよく見るような恐怖文字?になっていた。

わたしにとってその光景は、平衡感覚を失うような、切なさと哀愁、不条理さを表現しているように感じ、なんだか悪夢を見ているようなぐるぐるした気持ちになった。ブラックコメディを見てる感覚とかにも近いだろうか。

かつ、前衛的な、かなりシュールな映像だった。

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