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ネットは広大だわ 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』押井守

「ネットは広大だわ」

素子のセリフと共に、ラストの場面が脳裏に広がりました。
休日の午後。ベッドに寝そべって、だらだらとスマホを見ていた時でした。
強い近眼のため、スマホはあまり見ないように日頃から心掛けていて、アプリも最小限にしていたのですが、コロナ禍で家にいる時間も多くなり、いつの間にかアプリの数が増え、気付くと何時間もスマホの画面を見ていることがあります。

眼が悪いせいか肩こりもひどく、ブルーライトカットの眼鏡をしていないと眼が本当に疲れ、眼の周り、首、肩、肩甲骨の筋肉がばりばりに固まってしまいます。そのせいで、気分が悪くなることも。
それでも、やはり中毒性があるのでしょうか。何か見たいコンテンツがあるのではとアプリを行ったり来たり。もう止めなければ!眼も腕も痛いよ〜!と思っていたその瞬間、先程の場面がぱっと現れました。

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
押井守監督


士郎正宗原作の漫画、『攻殻機動隊』の1巻を原作にした押井守監督のアニメ映画です。

サイバーパンク大好き!押井監督大好き!なので、もう何度も見返している名作中の名作なのですが、今まではかっこいい映像や世界感、“身体と心”“ゴースト”という哲学的なテーマに興味があり、思いを巡らせてきました。

最初に書いたラストの場面。仮の義体になった素子が高台から都市を見下ろし、目には見えないネットの光がなんとなく都市を覆っているような。印象的ではありましたが、なんとなくのイメージといった感じで観ていました。

それが、あの休日のだらだらとベッドに横たわり、スマホの小さな画面を延々と見ていた瞬間に、リアルに、今1番現実感がある!と感じたのです。

でもその時、同時に感じたのは、“自分に溢れすぎている窮屈さ”でした。
SNSにあまり投稿する方ではなく見る方が多いのですが、自分の好きなもの、好みのものをピックアップして見ますよね。自分もこんな風に発信してみたいなと想像したりもする。そして、その私の好みをOSが記憶して、どのサイトを見ても私の興味がありそうなものが出てくるようになる。好きなものが深まっていく感覚もありますが、どこを見ても自分、自分すぎる不安というか、自分すぎてオエッというか、、そんな感覚がありました。

素子は人形使いと融合する事で膨大なネットの海と繋がり、新たな次元に移行できるのではないかというぞくぞくするような期待と共に、自分が自分と認識していた“私”が無くなってしまうのではないかという不安も感じているようでした。
その感覚怖いな〜と思いながらいつもあの人形使いとの場面を見ていました。
ネットで繋がり、“融合”することで、意識が自由にどんどん広がっていく。自分と他人の境が無くなっていき、“個”が無くなるイメージ。
そういう未来が来るのか、、と空恐ろしく思っていたのですが、、

今回、どちらかというと、その感覚とは正反対の、“私に溢れすぎ!”と感じた瞬間にこそ、あのラストを実感したことがなんとも不思議な感覚でした。

小さく閉じている、凝り固まったような自分だけの世界。

これもまた、ネットが広大であることで実感した未来の一片ですね。


映画も原作も本当に素晴らしい作品なので、ぜひ観てみてください!
押井作品出たいな〜!

ここまでお読みいただきありがとうございました。



















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