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コミュニケーション不全を解消する言葉の伝導士になりたい

添削・校正サービスを始めようと思った理由の一つに、実はコミュニケーション不全の解消がある。文字で書く言葉と口から発する言葉は、意識の置き所が違うため、ときに「口は災い」になりやすい。

また、人材育成や教育を行う立場の人たちにとって、口から発する言葉ほど文字で伝える以上に注意しなければならない。

けれど、口から発せられる言葉は、もともとその人が知っている言葉がベースになっている。その語彙の多くは、書籍などの書き言葉から得られることが多い。

ならば、自分が書く言葉に意識を向けるようにすれば、自ずと発せられる言葉にも変化が望めるのではないだろうかと思ったのだ。

実際に、私は幼い頃から自分の気持ちを日記やブログを使って、内観から得たものを文字に起こしてきた。その過程で、さまざまな言葉を得てきた。自分の中で感じた欲求や感情を言葉で表すには、それを表現できる語彙・言い回しが必要になる。

私はそれらを小説や実用書、多くの辞書から学び得てきた。そして、何よりたくさんのさまざまな経験が下支えしてくれている。多くの経験は、何かを得るときには良い入口になってくれる。何も知らなければ、その先に進むのが難しいが、わずかでも経験があることでどう進めばいいのか見えてくるからだ。

正直、私の一つ一つの経験値はそれほど高くない。ただ、横に広い。その「横への広がり」が、今の私を支えている。それを決定づけてくれたのは、これまで関わってきてくれた人たちだ。

多くの経験は、人を育てるときに必要な想像力を豊かにしてくれる。これまでの社会経験で、私は多くの場所で育成・教育に携わってきた。そのなかでよく相談を受けたのは、やはりコミュニケーションへの悩みだった。

その人が言わんとしていることを汲み取って伝えてくれる相手なら、もっとコミュニケーションがスムーズだっただろう。その人自身が自分の言葉を適切に扱えていたなら、もっと深くコミュニケーションがとれ、違う見方もできていたかもしれない。

そんな場面を、それはもう数えきれないほど見てきた。

いま、自分は何の縁なのかはわからないが、言葉を扱う仕事をしている。その関係でチームで仕事をするときや、クライアントワークで齟齬が生まれる場面をちょくちょく目の当たりにしていると、コミュニケーション不全だなと感じるし、立場上自分に何もできないことを不甲斐なく感じることもある。

そんなこともあって、コミュニケーション不全を解消するためには、やはり自分の言葉の扱い方を伝えていきたいなと思ったのだ。

だから、私のサービスでは、ただ間違い探しをしたり表現を伝えたりするだけでなく、その人の言葉のクセについて言及することで、何かに気づいてもらうキッカケになれば、普段の言葉への意識づけにもなるかもしれない。ひいては、それがその人のコミュニケーション力にも繋がり、人間関係を円滑にする一つの要素になるのではないかと考えている。

会社員から「上司がクソ」「部下が使えない」などという言葉が聞かれるが(実際のところ本当にクソな上司も使えない部下もいるかもしれないが)、本当の真実はその人と、その人と同じ職場にいる人にしかわからない。

でも、そこにコミュニケーション不全があれば、お互いに通じるはずがないのだから、実がお互いが誤って認識しているだけということも十分にあり得るのだ。

これは、私自身が実際に経験したから、そう思う。部下を数十人、百数十人と抱えていたとき、何人かの部下は私にとって"使えない"後輩だった。けれど、それは私が彼女たちと同じ目線・視野でコミュニケーションがとれていなかったからだった。

それに気づいたのは、ある日じっくりと彼女たちと話す機会を設けたときだった。一般に女性は話すのが上手だといわれるが、これはその人の持つ知性にもより、個人差がある。自分の感情に振り回されて貧弱な語彙がさらに貧しくなる人もいれば、自分の感情と事象を切り分けて適切な言葉を自分なりに選んで話せる人がいる。

コミュニケーション不全を起こしやすいのは、前者の人だ。言葉を知ることで、感情と事象を切り分けやすくなる。これは、事象に対する分析力が上がるからだと思う。実際に、前者だった後輩はこちらが言葉を代弁していくことによって、ヒステリックに泣きわめいていたのが落ち着きを取り戻していった。何度もその機会を設けることで、いつしか冷静に話ができるまでになった。

言葉は難しいが、私たちは言葉を使ってしか他者と関われない。これは、今後ITがさらに発展しても変わらないだろう。だからこそ、たとえ齟齬が生まれても、それを埋められるコミュニケーションが取れるような言葉の使い方を、私は伝え続けていきたい。

できるなら、それでみんなが幸せになってほしいと思う。そのためにも、誰かと誰かの言葉がちゃんと落ち着く場所に落ち着けるような、双方の言葉の溝を埋める伝導士になりたい。添削・校正サービスは、その活動の一環なのだ。

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