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アメリカでのお金へのアプローチ(老後資金の積み立て・FI・マネーリテラシーと子どもの教育などなど)

2023年はけっこうファイナンス系、マネーリテラシー系の本を読んだ。この分野の本を読んでいるとよく聞く "Latte factor"も、オリジナルを読了(ビジネス書かと思ったら小説だった!)。私が読んだ十数冊では、FI (= Financial Independence)を確立して仕事に縛られない自由な人生を手に入れよう、という主張のものが多かった。「20代〜30代前半で超切り詰めた生活をし、30代半ばには早々にリタイア生活に入る」というミレニアム世代のFIREブームがひと段落して、晴れて「リタイア」した本人たちも周りも、結局何も仕事をしない人生はつまらない、って悟る段階にいるから、FIREからRE (retire early)が落ちてFIだけ残っている感じ。FIREしてる人たち、大概は何か仕事しているものね。でも、稼ぐ必要があるからではなく、したい仕事だからしている。人間、したい仕事ややっていて楽しい仕事があるのは良いことだと思う。そこに経済的な必要がなく、選べる立場にあるのならストレスもない(Latte factorに登場する、小さなカフェのオーナーはまさにこんな感じ。ただのバリスタのおじさんに見えて、実はオーナー。来たい時に仕事に来て、常連たちと会話をしつつコーヒーを作る。そして、帰りたい時に帰る)。

何冊か同じテーマで本を読んでいると、大体パターンが見えてくる。アプローチこそ違えど、経済的独立に裏付けられた自由、というゴールは同じわけだから。アメリカの場合は、401kと呼ばれる積み立て型拠出年金に毎年入れましょう、こういう投資は少額でいいのでなるべく若いうちから細く長く続けましょう、っていうのが基本。でも、それだけではリタイア後に暮らすだけのお金が貯まる頃には六十代になってしまう。だから、もっと早く経済的独立を確保するために、FIREと同じく、社会人生活の初期段階で無駄遣いせず、まずタネ銭を作り、それを不動産などの投資に回し(house hackingとかね)、出た利益をまた別口で投資して、雪だるま式に資産をふくらませていく。不動産価格が上がっていくことが前提のアメリカだから、不動産投資は王道。確かに、20代の頃だったらルームメートがいてアパートや家をシェアして共同生活するのもあるあるで抵抗が少ないし、それを元手に利益を増やし買い足していくっていうのはいいかもしれない。あとは、毎年政府に決められた非課税額を401kとかIRAとかに最大限入れつつ、あえて課税される投資口座でも株と債権を運用していく。そうすれば、いわゆる「リタイア」後から59.5歳になるまでのブランク期間、生活費を引き出せる口座ができる。

アメリカあるあるだなーと思うのは、この手の本が大抵、いかにして負債を返済し、収支をマイナスからゼロに持って行くか、というところから始まるところ。クレジットカードの借金があるのはごく普通、そこに車のローンがあったり、学生ローンがあったり。20代から積立投資を!とか言う以前に、まず負債をなくし、毎月カツカツ、お給料を前借りするような生活から抜け出さなくてはならない。この場合、もちろん貯金はゼロ。自分の周囲の日本人で、クレジットカードの負債を抱えている人には会ったことがないけれど(言わないだけ?)、アメリカではかなりしっかりしていて教育もある友人知人ほぼみんなこれらの負債が多かれ少なかれある感じだった。特に、学生の頃はお金がない(その上学生ローンを抱えている)ので、クレジットカードを切ることになり、負債から抜け出せない。

日本では老後資金2000万円と言われていた時期があったけれど、アメリカ人の半数は老後資金どころか貯金もない。一方で、若いうちからこういうマネー本の教えを実践し、30代〜40代で数ミリオンの資産を築き経済的独立を実現している層も少数あり。若い頃から始めるのが肝要な投資だけに、人生も後半戦になってくるとこの差はとてつもなく大きい。留学生としてこの国にやってきて、なんとか仕事をみつけ生活していくので手一杯だった自分は、もちろんこういう知識はゼロだった(というか、グリーンカードもなくこの国に永住するかもわからなかったし)。かなり遅れをとってしまったので、子どもたちにはこういう知識を授けてあげたい。まず自分が勉強中……。


2023年に読んだ本の中から数冊紹介。

残すものゼロで死のう、とまでは思わないんだけど、健康資産のない状態でお金を溜め込んでいても無意味、って言うのにはすごく共感。人生にはタイミングがある、とも。経験と思い出こそが人生の資産。
いかにもなタイトルだけれど、アメリカならではの色々な情報が入っていて参考になる。特に、子どもに関係するお金周りのこと。
具体的な数字と手段がたくさん、話しかけられているような文体が読みやすい。
FIREの基本がわかる。雇われ生活への疑問が湧いてきて人生能動的に生きなくちゃ!って気になるかも。

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