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離れて暮らす親の介護をどうするか問題(3)〜父の要介護認定〜

日々の生活すべてに介助が必要になってしまった父を、高齢の母親が一人で見ることには無理があったので、介護度の再判定をしてもらうことになった。父の前回の認定は「要支援1」で、この認定では介護保険で利用できるサービスはごく限られている。パーキンソンはゆっくり進行していくものだから、との理由で次の介護度認定はずいぶん先に設定されていた。しかし、どう見ても「要支援1」の状況には見えないし、訪問介護や入浴サービスなどが必要な状況だった。この流れで、ケアマネさんが変わることになり、認定をしてくれる調査員の方にも来てもらったりと、母はその手続きでてんてこ舞いだった。

調査員の方が実家に訪ねてきて、認定が出るまでに数週間はかかった。それでも、待っている間にもなんとかデイサービスに通えるよう手はずが整えられ、父は入浴と食事を済ませられ、母はほんの少しだけ自由な時間を持つことができるようになった。それまでは、母が買い物に出かけた先に父から電話がかかってきて、「トイレに行きたい」と言われたりと本当に息のつける暇がなかったらしい。今後、自宅で父の介護を続けていくには、デイサービスはほぼ毎日必要だろうし、それでも夜間や朝は母が父の介助をすることになる。母は真面目な性格で、できることはなんでもしなければならないという義務感が強いので、夜中に起こされればその度にトイレに連れていく。夜も手伝ってくれるようなサービスはあるのか。どんなサービスが存在するのか、またそれらを利用するためにはどの程度の介護度だったら認められるのか、わからないことだらけだった。

私は、せめてケアマネさんやスタッフさんたちとの面談に同席しようと、LINE越しに一緒に話を聞かせてもらった。調査員の方が来訪された時もLINEをつないでずっと話を聞き、必要に応じてメモをとった。母が、次々と展開していく事態についていくのがやっとで、頭の中がぐちゃぐちゃ、とよくこぼしていたので、後で見返して大事なことがわかるように書いておこうと思った。特に、調査員の方との話は、父が何がどのくらいできないのか、しっかり把握することができて、話が聞けて本当によかった。日本とは14時間の時差があるので、たまたま私が同席できる時間だったのはラッキーだった。そして、母が誰にも打ち明けず一人で「なんとかしなければ」と抱えていたであろうことをほんの少しだけ軽くできたようなのも良かった。母は、私が状況を認識していて、冷静に状況を分析してくれるので助かる、と言い、少しホッとした顔をしていた。私も、遠くからできることは少ないものの、こういう時間を取ったり、母の話を聞いてあげることで多少の助けになれるのなら、とうれしかった。

調査員の方が来てから数週間が経ち、判定が出た。父の介護度は、最大の「要介護5」だった。

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