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四人が好き勝手に映画、書籍、エンタメ等々について書いていきます

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最近の記事

2022年上半期に観た映画(NANASE)

完全自己満企画第2弾、今年の上半期に観た137本を一気レビュー! 1.マルチプル・マニアックス(1970/米/ジョン・ウォーターズ監督) ★★★★新年早々ジョン・ウォーターズ。いや、でも・・・良かった!!悪趣味全開なんだけど決して変態を下に見ていなくて、愛を感じるから素晴らしい。我らがディヴァイン様の「ついにここまで来たのね…ディヴァイン!」というセリフにはさすがに笑ってしまったw だんだん良い女に見えてくるから不思議。 2.ニュー・シネマ・パラダイス(1988/伊/ジュ

    • 安直な生と性 『生きててよかった』

      私は「男の映画」が好きだ。過去の栄光にしがみつき、過去に向かってしか生きられない男とか、夢を追って落ちぶれていく男とか、男らしい振る舞いやくだらないメンツにこだわって破滅する男とか、そういうものをバカみたいにカッコよく描いたような映画が好きだ。 その意味での最高傑作はやはり私の中では2009年の『レスラー』(ダーレン・アロノフスキー監督)。かつて人気レスラーだった主人公ランディを実際に落ち目だったミッキー・ロークが演じたのも最高だし、ランディと恋人パムが80年代LAメタル好

      • シンプルな情熱

        とても好きな映画でした、『シンプルな情熱』(ダニエル・アービッド監督、2020年、仏)。 ストーリー自体はよくあるエロティックな大人の恋愛映画で、バツイチ子持ちのエレーナ(レティシア・ドッシュ)が、既婚のロシア人男性アレクサンドル(セルゲイ・ポルーニン)に夢中になって、ボロボロになった結果別れる、というお話。 エレーナは大学で詩を教える知的な女性、映画鑑賞と読書が趣味。対するアレクサンドルはプーチン支持者(今は特にセンシティブな話題ですが…)で、好きなものは車とアメリカ文

        • 君の名前で僕を呼んで

          どう見ても好きなジャンルであるにもかかわらず、恥ずかしながら機会を逃し続けて今回やっと観た、『君の名前で僕を呼んで』(2017)。 もう…見終わった直後は言葉が出ず、ただただ涙が流れるばかり。 『モーリス』のジェームズ・アイヴォリーが脚本を書いていて、エイズ禍が吹き荒れる直前の1983年、北イタリアを舞台にした作品。 主人公エリス(ティモシー・シャラメ)の元に、大学教授をしている父(マイケル・スタールバーグ)の教え子オリヴァー(アーミー・ハマー)が夏休みで家にやってくると

        2022年上半期に観た映画(NANASE)

          愛される恐怖『ロスト・ドーター』

          マギー・ギレンホールの監督デビュー作『ロスト・ドーター』は、不穏な空気で終始心をざわつかせてくる名作だった。 「よかった!!」と簡単に人にオススメできる映画ではない。人によってはひたすら気持ち悪いかもしれないし、「母親にならないとわからない感覚」という意見がある一方、逆に自分が母親になっている人で「こんな感覚になるなんてありえない」と思う人もいるかもしれない。娘の立場からもいろんな意見が出るだろう。 しかし、一筋縄ではいかない「母性」というものを、安易な女性解放ではない形で描

          愛される恐怖『ロスト・ドーター』

          2021年に観た映画に一言コメント(NANASE)

          アップする順番が前後してしまいましたが、完全に自己満で、去年見た映画を羅列して一言コメントつけていきます!  noteに書いたものはURLを載せます。 トップ画は、166本目「キング」で語った、イチオシのロバート・パティンソン。 新作があまり観られなかったので、今年はガンガン劇場で観ていきたいです!(抱負) 1.サイコ(1960年・米) 何度見ても怖い。オチを知ってても怖い名作。 https://note.com/mikangarten/n/nb0e4cb5295 2

          2021年に観た映画に一言コメント(NANASE)

          ハウス・オブ・グッチ

          楽しみにしていたリドリー・スコット監督の最新作『ハウス・オブ・グッチ』、池袋で観て来ました。 ・・・結論、レディー・ガガは天才!(今更) 彼女以外も、豪華な俳優陣の演技は素晴らしかったし、映像やザ・80年代なBGMも個人的に楽しかったけど、話としてはインパクトに欠けるし、全体的にキャストに頼りすぎな印象で、名作とは言い難いかな〜、観てよかったけど。 『ハウス・オブ・グッチ』は、誰でも名前を知ってる高級ブランドGUCCIの創業者一族のお家騒動を描いた話。 お家騒動の内容

          ハウス・オブ・グッチ

          由宇子の天秤

          すこぶる評判が良いらしいと聞いて、『由宇子の天秤』(春本雄二郎監督、2020年)を日比谷シャンテで観てきた。 「火口のふたり」の瀧内公美が主演を務め、「かぞくへ」の春本雄二郎監督が情報化社会の抱える問題や矛盾を真正面からあぶり出していくドラマ。3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の真相を追う由宇子は、ドキュメンタリーディレクターとして、世に問うべき問題に光を当てることに信念を持ち、製作サイドと衝突することもいとわずに活動をしている。その一方で、父が経営する学習塾を手伝い、父

          由宇子の天秤

          『アナザーラウンド』

          デンマーク映画『アナザーラウンド』(トマス・ヴィンターベア監督、2020年)を久々に映画館で鑑賞。マッツ・ミケルセンがシャンパンボトルを煽ってる写真をTwitterで見かけたときから絶対みたい!と思っていたんだけど、期待通り満足感と共に映画館を後にできる良作でした。 マッツ・ミケルセンが演じるマーティンは、高校で歴史を教えているものの、授業への熱意はゼロ。生徒はまともに席にもつかないのに、「先生の授業じゃ試験にうからない」と親を連れて文句を言ってくる。妻ともすれ違い続きで会

          『アナザーラウンド』

          ヒップホップ映画祭

          ソーレン・ベイカー著『ギャングスター・ラップの歴史』が面白い!! キャッチフレーズは「スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで」。タイトル通りギャングスタ・ラップの歴史を学ぶという意味でも、また公民権運動以後のアメリカ黒人史の一面を学ぶという意味でも面白い。 1983年にマイケル・ジャクソンの”Billie Jean”が大ヒットするまで、黒人ミュージシャンの曲はMTVのゴールデンタイムには流れなかった、とか全然知らなかった。その後1988年に『Yo! MTV Raps』

          ヒップホップ映画祭

          ビーチ・バム

          ド派手なマシュー・マコノヒーと超おしゃれ(通常運転)なスヌープ・ドッグ出演映画!?!? …話が微妙だったとしても絶対好き!!!! というわけで、不覚にも劇場公開時にその存在を知らなかった『ビーチ・バム まじめに不真面目』(ハーモニー・コリン監督、2019年)をシネマ映画.com先行配信で観ました〜! 結論、、、、、良かった。内容も最高だった!!! ハーモニー・コリンの映画って、毎回「好みそう!」と期待して観に行っては「何かが違うんだよな・・・」とちょっとがっかりして帰

          ビーチ・バム

          『チョコレート』グロトウスキ三代と森三代

          私の中で、第三次ヒース・レジャーブームが来ている。 ヒース・レジャーのどこか哀しげで寂しげな演技が大好きなのだけど、観ていなかった『チョコレート』(2001年、マーク・フォースター監督)が最高に泣けた。 近所の黒人の子供を銃で脅して追い払う、絵に描いたようなアメリカ南部の家族・グロトウスキ家の物語。現代だったら絶対トランプ支持で、「男らしくない」からマスク拒否して「タフじゃない」からワクチン打たないタイプの家族だ。 南軍旗を掲げた家に、祖父バック(ピーター・ボイル)、父

          『チョコレート』グロトウスキ三代と森三代

          イン・ザ・ハイツを観てくれ

          映画『イン・ザ・ハイツ』がめちゃ良かった。2020年代2年目にして10年に1本の最強のミュージカル映画が出たんか…? くらい良かったのに興行的にはあんまりらしい。公開1週目も2週目も観に行ったが、都内(都心ではないが)のシネコンでも客席半分埋まってるかどうかくらいな感じだったし、今週末は3週目にして1日1回の上映回数になっていた。 宣伝予算がないのか、確かに街中で広告を全然見ないし、CMもやってないのでそりゃそうだとは思うが、あまりに寂しい。ちなみに、本場アメリカでもコロナ

          イン・ザ・ハイツを観てくれ

          ひまわり

          ずっと観たい観たいと思って観ていなかったヴィットーリオ・デ・シーカ監督のイタリア映画『ひまわり』(1970年)をついに観たら、もうめちゃくちゃに感動してしまった…。 海で出逢ってすぐ恋に落ちたジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)。アントニオは徴兵される予定だったのだけど、結婚すると12日間の休暇がもらえてラッキーということで、二人は結婚。 この新婚の頃の「12日間」が永遠かのように振る舞う二人の明るさが、後になるととても泣ける。何も考

          ひまわり

          暴君になる方法

          Netflixのオリジナルドキュメンタリー『暴君になる方法』が面白かった。 1.アドルフ・ヒトラー(ドイツ) 2.サダム・フセイン(イラク) 3.イディ・アミン(ウガンダ) 4.ヨシフ・スターリン(ソ連) 5.ムアンマル・カッザーフィー(リビア) 6.金日成・金正日・金正恩(北朝鮮) の全6エピソードから、暴君になる方法をプレーブック化して学ぶ、という番組。君も暴君になれる!的な。1話30分程度で見やすいです。 ヒトラー、フセイン、スターリンあたりはもういろんなところで

          暴君になる方法

          90年代を考えてみた

          オリンピック開会式直前に起こった小山田騒動で、度々目にした「90年代の悪趣味/鬼畜ブーム」の話。 私は88年生まれなので90年代はもろに幼稚園〜小学校時代で、ヒット曲や幼いなりに感じた時代の空気感はうっすら覚えているけど、もちろんサブカル文化に触れるほど物心はついていなかったし、家にパソコンはあったもののまだ通信料金が高くて、軽くネットで調べものしてポスペ(懐かしい!)で友達からのメールを確認する、くらいしか使っていなかった。 2000年代はバリバリ「自分の時代」だし、8

          90年代を考えてみた