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だからさ。忘れた頃に思い出させてこないでよ。

恥ずかしい告白のあとから彼とは一度も連絡をとっていない。

だってさすがに恥ずかしいし、
何話したらいいかわからないし。


最近は四の五の言わずちゃんと人と出会おうと思って、
マッチングアプリに勤しんでいる。
テンプレの会話
「イイネアリガトウゴザイマス。ナンテオヨビシタライイデスカ」
同じ質疑応答のの繰り返し
「ドニチオヤスミデスカ?オヤスミノヒハナニシテマスカ?」
オスとメスの箱に入れられて、つがいとして会う感じ。

プロフィールに紐付けられている情報から
同じようなものが好きな人と連絡をとっているけど、
私のコミュニケーションに問題があるのか、
私の中で相手に興味がないからかきつい。優先順位があがらない。

それでも、会ってみないとわからないかなと思って会ってみたりする。
でも残念ながら多くの人がプロフィールの写真で詐欺してる。
プロフィールから+10kgしてて…とか、肌ボロボロとか。
私の写真も確かに奇跡の一枚かもしれない。
一応言い訳がましいけれどプロフィールに盛っていますの表記はしている。


ある程度お酒もすすんだなかで、
「好きな人のタイプは?」と聞かれて、
自分から好きになった人と付き合えていない人生だと話した。

好きな人のタイプは
その人自身の好きなものがはっきりしてる人。
お話が好きな人。

好きな人のタイプを聞かれて一番に思い出したのは、
一年前に玉砕した彼だった。

「自信がある人が好きなんですね」
そうですね。自分にないから求めるのかもしれないですね。

自信家のくせに、一人が好きなくせに、
でもどこかでずっと寂しくて愛せる人を探してて、
ほっといてほしいくせに、誰かにずっと応援していてほしい人で。
愛する人に裏切られた記憶があるからか
幸せが怖くて眩しくて遠ざけたりしてるように見える、
そんな彼が好きだったかもしれないですね。
とは言えないから、微笑んでおきました。

優しい人だけど、少し妙な話し方(私が言うのもなんだが)な
写真詐欺の彼と別れて、一度駅に戻った。
けど、なんだかこの不完全燃焼をどうにか解消したい…
なんて欲深く思ってしまって
いまハマってるお店ででも甘いもの食べようと
駅から出て町を徘徊していた。

商店街の坂道をほろ酔いで降りていく私の目に入ってきた撮影隊。
お、なんか撮影してるな…
知り合いいるかな…ここ映の中入ってるな…


あ、Kくんだ。

撮影隊の制服なのか?と見紛う
黒い服の集団のなかに、去年告白するも撃沈した彼がいた。


知らない人と飲んだ2時間よりも
君とすれ違った3秒のほうがずっと気持ちも体力も持っていかれた。


「いま、下北で撮影してる?」
「してる。」
ラインのすぐあとに撮影終わりの彼とすれ違った。
手を振った。

あ、知り合いっす。と周りのスタッフに話す横顔が見えた。
私達は、そう知り合いっす。





ソラニン/ASIAN KUNG-FU GENERATION


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