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建築士から電気主任技術者への道


資格を取り巻く背景

建築士も電気主任技術者も、担い手不足が叫ばれている資格である。

建築士は受験資格を緩和し、実務経験がなくても受験可能となったことで受験者数の減少に多少歯止めがかかり、1級建築士の合格者は毎年3000人から4000人の間で推移している。

一方、第三種電気主任技術者(電検三種)ではもっとドラスティックな制度変更がされており、受験回数は年1回→年2回、科目合格が有効な試験は2回→5回(受験した年を含めて3年)と、合格基準にまで踏み込んで資格取得者を増やしにかかっている状況。
さらにCBT方式の導入によって、受験する日程を期間内で自由に設定できたり、科目ごとで変えられたり、柔軟に日程の変更もできるようになっている。
極めつけは、絶対試験(60点取れば必ず合格する)にも関わらず、問題の難易度が低下気味(というか過去問そのままが増えている)という状況であり、合格のハードルが確実に下がっている。

受験をお勧めする人

建築士保有者で電検三種の受験をお勧めする人は

  1. 設備一級を目指されるなど、設備設計の道の方

  2. 大学受験で物理がそこそこ好きだった方

  3. いわゆる建築業界以外に転職したい方

1.の方はお勧めされなくても既に検討をされている人は多いと思われる。
2.の方が建築士受験生では案外多いんじゃないかな。大学レベルの電磁気学の知識は電検三種の受験においてはほぼ不要なので、特に若い人には積極的に受けてもらった方がいいと感じる。まあ、三相交流など高校ではやってなくても、モロ実務みたいな内容はどうしてもあるけど…
3.は転職サイトに登録してみて特に感じたことだけど、1級建築士+電検三種で意外に引っかかってくるのは、「銀行」「メーカー」など。多数の建物及び電気設備を保有しており、社内で技術者を抱えられる規模の会社に需要があるようだ。

電検三種受験にあたって

実務で受配電設備に少しは関わっているけれど、自分はどれかというと2.のタイプになる。なので、ガチ電気系ではない人が電検三種を受ける際の参考となれば。

まず、科目合格が向こう5回分の受験で有効であることを最大限に活かし、「全部の科目を取りに行こうとしないこと」
流石に電気素人がいきなり4科目合格するのは難しい。科目合格が向こう2回分だった時代では「捨て」を作る作戦は無謀だったかもしれないが、今は6回の試験で4科目の合格をすればよい訳なので…

(戦法)
・一騎打ち作戦 → 1回の受験で1科目ずつ落とす作戦
・半々作戦 → 2科目ずつ受験し、最短2回の受験で終わらせる作戦
・数打ちゃ作戦 → 3科目受験し、難易度の低い科目を拾う作戦

自分は半々作戦が上手くハマったけど、直近の難易度低下を見ると数打ち作戦の方がいいかもしれない…

次に、どの科目から狙うかについて、これはガチ電気系ではない人は下記の順番が良いと思う。

  1. 理論 すべての基本。ここで苦しいと撤退戦を視野に入れていいかも

  2. 電力 とっつきやすい。勉強内容が現実とリンクしやすい

  3. 法規 覚える内容が多いが、頻出問題も多い。実務強い人なら1番目かも

  4. 機械 イメージが難しい、範囲が広い。

機械は専門外の人には本当に難解だと思う。建築士の方は照度計算の問題が出たら少しラッキーかも。
勉強方法ですが、テキストでひと通り読み進めたあとは、ひたすら過去問作戦でOK。建築士受験とその辺は変わらないし、むしろ最近は過去問率が上がっているので。

まとめ

1級建築士合格者が別の資格を受験する姿はよく見かけていたが、やはり勉強の習慣が残っているうちに何かチャレンジするのは良いことだと思う。自分が見てきた中では、宅建、建築設備士、適合判定資格者あたりが多かったけど、電検三種は最近の状況を見るとかなり狙い目だと思うので、興味のある人には是非受験をお勧めしたい。

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