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6年越しのインド土産

あのインドのブログ、おもしろかったよー。
声出して笑ったもん。


名古屋の昭和区にひっそりとたたずむワインバーにて、M田さんが言った。


遡ること6年前の3月、私は気の向くままにインドへ行った。

その40日間の旅の記録をある日ふと、なにかに残したくなった。


それはコロナ禍の2020年、ニュージーランドに住んでいた時だった。

当時、ロックダウン中のニュージーランドでは、同居人以外との接触を禁じられ、外出は病院かスーパーのみのレベル4と言われている最も厳しい掟の中で生活していた期間があった。
そんなときに、このニュージーランドでの生活と、旅の記録を綴りたくなった。

インドでの記憶も2年が経ち、薄れ始めてることに若干の焦りを感じていたのだろう。

心が、今こそインドのあれこれを綴れと、叫んでいた。


当時の日記や写真を元に、インド旅のブログを毎日少しずつ書き溜めた。文章をかくことは、好きだったがそれを得意だと思うことはなかった。

しかし毎日ブログを書いて公開し続けていると、旧友や叔母の友人、見知らぬ人からの感想が届くようになった。中でも、面白いねと言われることが何より嬉しかった。

自分が書いた文章で誰か一人でも笑ってくれる人がいるのなら本望だと思っていたし、ユーモアがある人へただならぬ憧れを抱いていた為、面白いというたった五文字の言葉が、どんな褒め言葉よりも嬉しく、自分自身をほんの少し肯定的に捉えられる魔法の言葉だとも思っていた。


2021年10月、ニュージーランド生活を終え、想定外だった愛知県への引っ越し。インド旅から帰国し6年の時を経て、私は今名古屋にいる。当時横浜にあった実家は、沖縄へと移った。

そしてニュージーランドで生まれた息子は、見事なまでのパパっ子となり、寝かしつけはパパ担当。夜の外出が自由となった先で出会った、イケイケ美女が店主のワインバー。

小さな奇跡とラッキーが積み重なり、6年後のワインバーにてひとりの人を笑わせることに成功した。

これは紛れもないインドの産物である。

6年前の自分が一歩インドへ踏み出したことが始まりであり、今へとつながっている。

全ての出来事や経験をラッキーだな、奇跡だなと思えるかはその人次第であって、その小さな奇跡で溢れた日常にいくつの宝石を見つけられるかで、人生の幸福度は幾分にも上がっていける気がする。

ひとりの人が自分のブログを読んで笑ってくれたこと。これが文章を書くうえでのモチベーションに繋がっているのかもしれない。

だれかに笑ってほしい。そんな願望が人一倍強いのだと気付かされた瞬間でもあった。

インド土産は6年経った今でも色褪せることなく、夜のBarに笑い声として響いた。

M田さんの笑顔が、私の中にある文章が好きという気持ちをまたひとつ強くさせてくれた。
ありがとう。

あの日、世界一くだらないインドブログを読んでくれた皆様へも改めて感謝の意を表します。

ダンニャワード🇮🇳


野生のベンガルタイガーニ会いに。
ひとり列車に揺られ、サワイドマプールという僻地へ



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