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CEOの略(Chief Exit Officer)?

今年になってからの米国企業のCEOの辞職が後を立たない。もしかすると史上最高数になるかも知れない上場企業172以上のCEOが懲戒、もしくは辞職している報告が先日され、今日もまた一人のCEOが辞職するニュースが流れた。GAP/Banana Repablic/Old NavyのCEOであるArt Peck氏である。CEOの略はChief Executive Officeの略だが、最近巷ではChief Exit Officeと皮肉られる言われた方がされ、いったい最近CEO業界?に何が起こっているのかを分析したい。

有名企業CEO辞職と言うと、最近ではマクドナルド、アンダー・アーマー、ナイキ、WeWork(未公開企業)、そして本日のGAPである。理由は色々とあるようだが、それは売上の低下だけの理由ではないと言う事である。以前はCEOの仕事と言うと、どんな事をしても(それが自然破壊、社員のリストラ、モラル無視等をしても)売上を上げ、収益を可能な限り上げる事がミッションとされていたが、最近のCEOの役目はそれだけでは無くなって来ているようだ。

先日開催されたビジネス・ランドテーブルで上げられた今後上場企業に期待されるミッションステートメントが発表された内容によると、これからの企業は今まで中心であったステーク・ホルダーへの利益が一番ではなく、社会にどれだけ貢献出来るかが、今後の企業に期待される事であり、それを実現させる為の気質がCEOには必要であると掲げ上げられた。と言う事は、企業は存続する事は当たり前だが、その為に収益性を1番に求めるのではなく、社会貢献度がもっとも重要課題であると書かれている。

では一体この社会貢献度を高くすると言う事は、企業は何を具体的に求められているんだろうか。
ー まずは企業は長期プランでステークホルダーに利益をもたらし、社会に対して、価値、ミッション、目的を明確にさせる事が必要。
ー 従業員を大切にし、若い世代の従業員を代表する存在になる。これはモラルの定義、社会貢献で活躍出来るフィールドの提供。
ー カスタマー・ファーストである事。
ー そしてもちろん、それらを達成しながら、収益を上げる事。

ここで気になることは、今回ビジネス・ラウンドテーブルで掲げられた目標は、会社はステークホルダーの為にあるのではなく、社会貢献をする為に存在すべきであると言われた事である。しかし上場企業は株価を如何に上げ、株主に可能な限りの利益をもたらすかが重要と言われて来て、それがアメリカと言う巨大資本社会を作り上げて来た象徴であったが、もぅそれだけでは今までの資本社会は機能しなくなって来ていると言う事なんだろうか。

アメリカは個人所得上位1%が下位所得者の90%よりも所得を上回っていると言われている。この10年でその差がどんどん広がり、このまま行くと、その差は縮まる事はないであろう。それをアメリカン・ドリームと一言で片付けるのは、あまりにも厳しい社会現象になって来ているのも現実である。

だからこそ、アメリカのトップで構成されているビジネス・ラウンドテーブルで、今回掲げられた、収益だけを最優先させるのではなく、如何に企業が社会に貢献出来る(ギブバック)出来るかが、今後アメリカが世界のリーダー的存在になる為に、如何に重要であるかが謳われたのではないかと思われる。それが今回の史上最高のCEO辞職数に関与している気がしてならない。

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