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嘘じゃん

子供より親が大事、と思いたい。

太宰治 『桜桃』

気持ちは痛い程わかる
でも少なくとも私にとっちゃ嘘だ
思いたい思いたいと考え続け
いざ自分と子供を天秤にかける
具体的な場面に直面すれば
さほど迷いなく子供を取るのだ
休憩時間はもとより
風呂の時間やそれに関わる時間
不眠症で睡眠薬に頼っている状態なのに
そのなけなしの睡眠時間すら
ピンチの彼らに差し出すのだ

もう既に子供らは大きいが
彼らが幼い頃
私が心身の限界を感じて
旦那に彼らを託したことが
現在のシビアな日々につながっているので
ひとりで踏ん張り続ける以外手はない

この先の残された時間の違い
子供の今ここの苦しさに寄り添うことで
得られるであろう人生への希望
もろもろを秤にかけたら
どうしたって子供を取らざるを得ないのだ

例えそれで私が倒れたとしても
どんなストレスや疾病を抱えることになったとしても

わかっていた
彼らがそれほど大事なのだ
自分よりも
それでもそれが悲しすぎて
しんどくて
一旦「思いたい」と思いながら
それ自体最初から嘘であることもわかりながら
『桜桃』のこのフレーズに
文句を言ってみたくなるのだ
でもそれはきっと
同じ苦しさを感じた大先輩に
畏れ多くも甘えているだけに過ぎないのだ

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