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パンダの足あと~その6の2:京都&名古屋 /2017.05.20~21)

■昼バス

昼バスは静岡行きでも経験あるものの、その時は4時間。
今度は7時間半。さて。

朝6時すぎにリュックを背負って家を出た。
4時に起きた。眠いけど、どうせバスの中で眠れる。多分。
バスタ新宿に到着したのは7時を少し回ったあたり。
今回は昼間だから、化粧は落とさなかった。

定刻通りに、バスがやってきた。
やはり記憶にある。前に京都から帰る時に乗ったグランドリームだった。
乗り込むと、入口右手に2階への階段があり、左手にすぐに1階席があった。
けれど、席は“AB+C”ではなく、“A+BC”。あれ?
サイトの席表示は異なる車種のだったみたい(たまにある)。なんだよー。
しかも窓際のC席には若い男性が乗っていた。A席は空席。そちらに移りたいなーと思ったけど感じ悪いし、バス側も困るかもしれない。素直に座った。
1階は3列あって、私の席は最後列。すぐ後ろにトイレがあった。(後ろの方はおそらく2階席用預かり荷物置き場。1階席は荷物預かりが無い)
前の列は不在。最前列のB席には男性客がひとり。平日だけあって、ガラガラ。
「ま、いいか」
普通の4列席と違って、BとCの間も15センチ以上あいている。座席も広く、案の定フカフカ。
バス出発と同時に私は態勢を整えて、ひと眠りすることにした。
7時50分、バスタ新宿からスタート。

最初の休憩は、いつもの足柄。トイレに用事はなくとも、降りる。
やはり夜中と違って、店が開いているのが良かった。車も人も多い。
おいしそうなものを売っていても、休憩は20分程度。ゆっくり食べられないから断念。
次の休憩までは、また爆睡。すごいな、私。
次は浜名湖ではなくて、清水だったような記憶。失念。
ただそこで降りた際に、緑茶の冷たいものを売っていた。苦くて冷たいものが飲みたくて買ったのに、甘かった。途中で飽きたけど、おいしかった。

途中、車窓から海が見えた。
天気の良い日。キラキラと光る水面にワクワクした。
あとは音楽を聴きながら、ウトウトしたり本を読んだり。何とも贅沢な時間。
そういえば食事をしたかどうかの記憶がない。足柄でおむすびとファミチキを買って食べた(無論バスの外)。それ以降は飲み物だけで過ごしていた。
甲南PAは忍者オブジェにビックリ。
そういえば隣のお兄さんは、ずーっと席にいたような気がする。私が外に出ている間に出ていたのかもしれないけど。

おおむね快適。
ただし出発すぐ、東名に入る時点ですでに渋滞で30分遅れていた。
調べると30分遅れのまま、運行していた。
到着した後、どこかで軽食をとも思ったけれど、チェックインの時間を考えると、どうも難しい。けどそのくらいの遅れで済んでいる。ありがたい。

京都駅に到着したのは、15時30分だった。30分遅れのまま。
降りると、長時間バスに乗った時特有の倦怠感があった。ふわっとした感じ。
私はリュックを背負って、その日の宿へと向かった。
そういえば、車内のトイレは一回も使わなかった。

■築百有余年のお宿

駅から結構歩いた。徒歩15分なんてたいしたことはないけれど、初めての場所はどうしても心細くなる。
てくてくてくてくと歩く。歩道橋を渡り、住宅街を抜ける。こんな駅近くに住宅街があるんだなぁ……。
やがて大きな四角い建物が見えてきた。これが京都水族館。
そしてその近くの路地を入ったところに、あった。

“はる家 梅小路”。
確かに建物は旧い!

引き戸を開けて入ると、ちょうど前に入った宿泊客の受付が終わったところのようだった。
丁寧な接客だった。その対応は、普通のホテルとそう変わらない。
受付を終えて、トイレとシャワーの場所や1階居間にある冷蔵庫を使う時の注意、土間などの説明を聞き、部屋に案内された。
居間を通り抜け、押入れかと思った扉を開けると、2階への階段だった。急な階段で、正直これは踏み外したら怖い。
ギシギシと結構な音が出る。慎重に上がると向かって右側に一つ、左側に二つの扉があった。
私に案内されたのは右手の方、そこが女性向けドミトリーだった。

入ってすぐ左手に鍵つきロッカーがあった。そこに貴重品を入れる。
右手には二段ベッド。ではなく、元押入れのような空間が上下二段横三列に仕切られていた。
頭を奥、足を入口側に向けて横たわる。入口扉はカーテンではあるけれど、カプセルホテルによく似ている。なるほど、これなら寝返りを打ってもベッドを揺らすことはない。(このページの左側の写真がそれ。もっとキレイな状態で撮っておけばよかったw)
すでに幾つかの“個室”のカーテンが閉められていた。
私が宛がわれたのは、一番奥の上段部分。
洗面所は1階のトイレの近くにもあるけれど、この部屋にもついていた。見ると長期滞在者のものと思しき歯磨き粉が置きっぱなしになっていた。おそらくロシア語が書かれていたと思う。

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あまりのんびりともしていられない。
明るいうちにベッドを整え(シーツや布団カバーなどは、自分でセットしなければならない)、荷物を整理して、ちょこっと化粧直し。
そのドミトリーの部屋の奥には応接セットみたいなローテーブルと椅子があり、その周辺のおいしいもの情報や京都市内の交通指南の書かれているファイルが置いてあった。
この夜のライブ会場への道順はすでに調べてあったけれど、バス停が近隣に幾つかあるらしく、その場所が明確に書かれていた。こういう情報が助かる。

リュックとは別に持っていたトートバッグに貴重品諸々を入れて、リュックはロッカーに。それから部屋を出た。
預かった鍵は2つ。ドミトリーの部屋とロッカー。宿自体の入口はナンバーロックになっていて、パスワードを聞いている。

築百有余年の建物の中は暗く、どっしりとした空気だった。
けどそれが思いのほか心地よかった。
ただ足元にだけは気をつけて、階段を降りた。

■夕ぐれ、バスに揺られて

宿のファイルのおかげでバス停はすぐにわかり、そこにやってきたバスに乗り込んだ。

京都市営バスで『七条大宮・京都水族館前』から『千本北大路』まで乗る。結構時間がかかる。40分強。結構遠くに感じる。私はまだ京都市内の大きさが把握できていない。
17時過ぎのバスに乗った。ちょうど帰宅の時間帯。空いていたバスも、徐々に混みだした。
高速バスでは窓側よりも通路側派だけど、街中ではできたら窓側がいい。特に知らない街では、外を見たい。
揺られながら、だんだんと暮れていく外を眺めていた。ああ、いいなぁ……。日が暮れ始め、人が乗っては降りてゆく。誰かの生活の営みに少しだけ触れながら、のんびり呼吸する。
全然関係ない場所だけど、昔北京で夕刻に市バスに乗って移動した時のことをふと思い出した。車窓から見える街の灯りがあたたかいのは、ぼっち旅での癒しだと思う。なんちゃって。


(その6の3へつづく)

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