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多摩デザイン大学「デザイナーズポートレート」 宮崎 光弘さん

昨年通った多摩美術大学が、期間限定「多摩デザイン大学 / Tama Design University」を開校しているので、受講しています。

この問いを頭に置きつつ、学んでいこうと思います。

「我々は新しい世界をどうデザインできるのか?」

我々は今、環境をはじめとした様々な課題や、テクノロジーによる急減な変化と向き合っています。その状況の中でどうデザインするかの前に、何をデザインしていくべきなのかを問い直していくことが重要ではと考えました。

▼講義詳細
多摩美術大学が、誰もが参加できる“デザインの大学”を期間限定開校。50の新たなデザイン領域を知る、講義プログラム公開
東京ミッドタウン・デザインハブ第94回企画展「Tama Design University」12月1日(水)〜12月26日(日) 会期中は講義プログラムを毎日開催。聴講無料。

▼講義一覧HP

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■テーマ
デザイナーズポートレート「過去のトップデザイナーの言葉から未来は見えるか?」

AXISで20年間、デザイナーが表紙の雑誌があったそうです。
初期の背景は、色バック、徐々に自然光、モノクロ、ロケ、物をもってもらうなど変化していき、手の写真やサイン帳にその人の言葉を残してもらったりもしていたそう。

宮崎さんは、アートディレクターとして20年間立ち会った結果、下記のようにデザインの潮流は変化していったのですが、宮崎さんご自身は「もの」のデザイン+「こと」のデザイン→社会のデザインととらえていらっしゃるそう。
(もの→ことではなくて、プラス)

「もの」のデザイン 
プロダクト(ジョナサン・アイヴ)、ファッション(三宅一生)、
建築(安藤忠雄)、グラフィック(佐藤卓)

「こと」のデザイン
デジタル情報に直接手で触れられるインターフェイスを開発
=タンジブルユーザーインターフェース(石井裕)

問題の解決ではなく「問い」を創造することで、未来を考える
=スペキュラティブデザイン(アンソニー・ダン&フィオナ・レイビー)

食べるものではなく食べることを対象に食の体験をデザイン
=イーティングデザイン(マライエ・フォーグルサング)

家電という道具を通して、心躍るような、素晴らしい体験を
=体験とビジネスのデザイン(バルミューダ 寺尾玄)

そのうえで、未来は誰にも見えないけれど、トップデザイナーから学んだヒントを各種ご紹介いただきました。

Ettore Sottsass エットレ・ソットサス 1917-2007

最初の表紙を誰にするかと考えたときに、すぐにエットレ・ソットサスさんが浮かんだそうです。理由は、ほかのデザイナーからすごく尊敬されていたので、彼が表紙を飾ったら、次から他の人は断らないんじゃないかとのこと(笑)

彼の言葉は、下記。

「私は子供の頃、山で暮らしていたので「重さ」の感覚というのがすごくある。山は重い。おそらく海で育った人には、海は重いという感覚はないでしょう。私がデザインする上で「重さ」というのは非常に重要です。例えば、近代の建築家はなるべく軽く、浮くような建築を目指してきたのですが、わたしはまったく逆です。「重さ」を感じるデザインをやってきましたし、これからもそうしたいのです。地面にしっかりと足をつけてね。だから女性を好きになるとまず抱き上げて重さを確かめるのです(笑)」

「消費文化の片棒をかつぐデザインはやめました」
Design
Functional Value,Economical Value,Emotional Value,Social Value
(機能的価値、経済的価値、情緒的価値、社会的価値)

数十年も前からデザインには様々な価値がある、とおっしゃっていたそう。


未来へのヒント1

デザインの答えは、ひとつじゃない。


Andrée Putman アンドレ・プットマン 1925-2013

フランス人女性で、インテリア&プロダクトデザイナー。

Rue De Bac1990の話が美しかったです。これは前だけが動かしやすくなっている椅子で、後ろを持ち上げて移動させるのですが。
ただ移動させやすいだけではなく。

 女性が一人で簡単そうに動かせる その立ち姿がエレガントじゃないといけない そこまでがデザイン

というところまで、計算されて作られたそうです・・!
(動かしやすいために、取っ手もついてますね)

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「どんなものでもラグジュアリー足りえます。ただし、そこには確固とした”スタイル”がなくてはいけません。主張や考え方がないものは”スタイル”とは呼べないのです。」


未来へのヒント2

デザインは、ある意味、その人そのもの。


Philippe Starck フィリップ・スタルク 1949-

「デザインの教育は受けていませんし、学校からはひとつも学んだことはありません。ただ、自分がどれだけ集中出来るかを学び人々に喜びと幸福と与えたいと欲した瞬間誰もがクリエーターになれるのです」

フランスのデザイナー。彼のデザインは、使い終わった後も飾っておける美しさがあるらしく。

▼Starck Official HP


未来へのヒント3

なるべく、ゴミを、つくらない。


八木保 Tamotsu Yagi 1949-

素材を大事にする人だそうです。下記記事では、日本素材である「竹」に対するお話しがありました。

スティーブ・ジョブズとともに時代を駆け抜けた、ひとりの日本人デザイナー・八木 保。
八木 保氏は『アップル』創業者のスティーブ・ジョブズとともに仕事をした数少ない日本人のひとりであり、現在もアメリカ西海岸を拠点に活躍し続けているグラフィックデザイナーです。

1984年に渡米し、『エスプリ』のアートディレクターを務めました。カタログやパッケージ、ストアグラフィックデザインなどのビジュアルを手がけ、1991年に『Tamotsu Yagi Design』を設立。数々の名作を世に送り出しますが、特筆すべきは『アップルストア』のコンセプトモデルの基礎となった1号店のデザインを手がけたことです。ここでいうデザインとは、目に見える内装やグラフィックはもちろん、コンセプトやコミュニケーションなど、目には見えないストアの核となるデザインも指します。
そんな八木氏の周辺は、その審美眼により長年集積された「もの」がひとつの風景を生み出しています。アート、インテリア、雑貨、本……。その「もの」は様々ですが、全てに共通していることは、「本物」だということです。

「本物でなければ意味がありません」。

その一つひとつには、作り手の「エスプリ(=精神)」が宿り、それを理解できる人のもとへ時空を超えてやって来たようにも見えます。つまり、間違った人の手にさえ渡らなければ、本物の「エスプリ」は永遠に生き続けるのです。世界を舞台に戦い続けている八木氏には、日本はどう映っているのでしょうか? 八木氏が考える日本のクリエイティブとは何でしょうか? その答えを自身が愛用する「made in japan」のものとの向き合い方とともに、紐解いていきたいと思います。

                         ONESTORY記事より


未来へのヒント4
本物に触れる。


Charles Eames チャールズ・イームズ 1907-1978
Ray Eames レイ・イームズ 1912-1988

イームズの椅子で有名なご夫婦ですが、

Leg Splint1941 医療用添え木 のお話しをされます。

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はじめに細かい部分1つ1つに注目し、次にそれより少し大きな部分を眺めてみる。それから・・・さらに枠を広げて見てみることを示唆したのはエリエル・サーリネンだった

さらに、そのイームズに影響を与えたサーリネンさんのお言葉の紹介も。

より大きな背景を意識してデザインしよう。椅子は部屋の中に、部屋は家の中に家は周りの環境の中に、その環境は都市計画の中にあると考えよう。
              ゴットリーブ・エルエル・サーリネン


未来へのヒント5

デザインを楽しむ。

Richard Saul Wurman リチャード・ソール・ワーマン 1935-

建築家で、グラフィックデザイナーで、TEDを立ち上げたお方。

私が子供の頃、父はこう教えてくれた。
「ブリタニカ百科事典」の中身を暗記する必要はない。
そこに何が書かれているのかを見つけ出す方法を身につければいい。

情報デザインのゴールはユーザーに力を与えることである。
情報をクリエイティブに組み替えればそこにまた新しい情報が生まれる。

情報の構造は、伝えようとする内容からひとりでに浮かび上がってくるものだ。すべての情報が解釈であることを認めよう。そうすれば束縛を解かれ、物事を自分に役立つように理解できる。

学習とは、何に関心があるのかを忘れないでいることである。
情報は無限かもしれないが、それを構造化する方法は無限ではない。
(彼の一番有名な言葉かもしれない)

情報を分ける方法
LATCH
Location 位置
Alphabet アルファベット
Time 時間
Category 分野
Hierarchy 階層


未来へのヒント6
このまま、人間中心のデザインで、よいのか?


■所感
イームズ以外は知らない人ばかりでした(いかにデザイン界の外にいたかを再認識しました)

そしてみなさん、おっしゃっている言葉もすごいのですが、やっぱり形としてのデザインが、美しいですね。。!

身の回りにあるものも、なるべく美しいもの、毎日見ててワクワクするものにしたい、と思いました!




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