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岡本喜八の家族

岡本喜八監督は小三の時に母親を亡くし、六歳年上の姉も高校を卒業してほどなく亡くなった。二人とも肺結核だった。

岡本家は150年前から続いた大工の家系であったが、八代目の祖父の宮大工までで、喜八の父、敞一(しょういち)は弁当箱の製函業を始めた。

また敞一は極度の神経質だった。刺身には熱湯をかけ、バナナは南洋の菌が付いていると食べるのを禁止した。パニック障害でもあったらしく、米子から妻の実家がある安来に行く電車の中では恐怖で脂汗を流した。

喜八が助監督から監督になり、ある程度名声を得ると敞一は仕事を辞め引退し、認知症になり喜八に無心した。
敞一は生涯で四度結婚している。

父を軽蔑していた喜八だったが、敞一が病気になってから徐々に父のことを理解するようになってきた。

父の危篤の知らせを聞いた喜八は東京から急いで帰り、息を引き取るまで父の手を握っていた。

筒井康隆原作「ジャズ大名」を監督した時には原作にはない城主の娘、松枝姫を喜八の次女真実に起用している。城主の妹の役名は文子というが、松枝は喜八の母親、文子は姉の名前だった。

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