実家のトイレがリフォームされて、キレイになった。

　イマドキ風のシャワー付き節水トイレである。どのくらい節水かと言うと、手を洗っているあいだに水が止まるくらい、節水である。あっという間にタンクに水が溜まる。節約になってよろしい。
　ある日、母が「なんだかトイレが詰まるのよ」と言う。どれどれと見てみると、確かにトイレットペーパーが流れずに、ゆらゆらと留まっている。
　あのトイレの詰まりを取る、パッコンパッコンいうやつでやってみると、トイレットペーパーは姿を消した。
　それからしばらく同じようなことが何度か起こるので、業者に見てもらったが、詰まっている様子はないと言うらしい。
　使ってみると、やっぱりトイレットペーパーはゆらゆら留まってしまう。もう一度流してみると、するりとこともなげに流れていった。
　それからは、必ず二回流すようになった。水は二倍流れてゆく。

　ちっとも節水ではなくなってしまった。

小説一覧へ