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Bryan's Magic Tears

ここ2、3年、好きなグループはと言われるとまず先に頭に浮かぶのが彼ら、Bryan's Magic Tearsだ。彼らはパリジャン、現在はBorn bad recordsに所属している。私と彼らの出会いは2017年のVillette soniqueの野外無料コンサートであったことを今でもよく覚えている。上記にあげたビデオ内で見られる演奏シーンの場は、まさにそのVillette sonique 2017時のもので私も一人の観客としてここにいたのだ。

Villette soniqueとはパリの東、郊外スレスレのいわゆるゲットーゾーンにある大きな公園Parc de la Villetteで毎年6月上旬に開かれている野外音楽フェスティバルで、私がこちらに住み始めてから何年もの間、欠かさずに参加していた。何がそんなにいいのかというと、6月上旬の一番気候が良く陽が長い時期に巨大な公園で開かれるという環境の良さは勿論、公園に付属の数か所のコンサートホールで開かれる有料ライブだけでなく無料で見られる野外ライブのラインナップが豊富なことである。個人的に、このフェスティバルのラインナップのセンスの良さには脱帽であった。(2年程前にオーガナイザーが変わってしまったため、二度と同様な雰囲気にはならないかもしれないが…)

2006年にスタートしたこのフェスティバルの過去出演者とし、Afrirampo,Mum,Melt-banana, Throbbing Gristle(!!!), Health, Ariel pink, Nisennenmondai!, Black lips, Deerhoof, Dan deacon, Animal collective, LIGHTNING BOLT (!!!), Arthur Russel, Cabaret voltaire etc..... 書ききれないほど、個人的にも興奮するラインナップであった。私が同公演内のライブハウス(Trabendo)にて2015年に、Lightning boltを見ることが出来て大変感無量であったのだが、2009年のVillette soniqueではなんと無料ゾーンでのライブだったようだ。私の相方Rは当時、現場にて見ていたようでもう何度も昔のVillette soniqueの良さを語られている。私はただウィキペディアを参照しただけなのだがこれを見ているだけでも鳥肌が立つようなラインナップである。それにあのThrobbing Gristleがあの公園に…と考えると、本当に鳥肌物だ。(参考までに、https://fr.wikipedia.org/wiki/Villette_sonique)

題にそれるが、このビデオもかなりやばいので載せないわけにはいかない。上記で話した2009年のVillette sonique野外ライブでのLightning bolt。

話が大変ずれてしまったのだが、私がBryan's magic tearsを説明するにはどうしてもこの背景であるVillette soniqueの説明が必要なのだ。出演者リストにはNeubaunten, あふりらんぽなどが入っていたこれまた素晴らしい年なのだが当時大学の授業で苦しんでいて、フェス開催の直前まで気づけずチケットも完売、残された参加方法は無料野外ライブであった。Villette soniqueのサイトで見れそうな時間帯のライブを確認して、同じく音楽好きの女友達と二人、ビールやチップスを持って集い昼過ぎから会場である公園にてピクニックをして、ライブリストの一部であったBryan's magic tearsを見に向かったのであった。高架橋下の特設ステージに並び始める5人の若いパリジャンは、よく見る少しsickなタイプ(ひげ面にやや長髪、清潔感を感じられないスタイル)、そしてギターベルトは短めにするタイプ、ズバリ私が若いころ(いや、現在でも?)好んでいたようなミュージシャンのルックス満載だ。彼らの音楽は、一般にはロックにカテゴライズされられるのだろうが、どこかサイケデリックにもメランコリック、ドリームポップのような要素も感じられる。一番最初にあげたビデオのThe hand of summerという曲に、私はやられてしまった。これこそ、私が求めていたものなんだろうと思う曲だった。悪く言えば、インディーロックシーンでよく聞くタイプのジャンルなのかもしれないが、私には全てが完璧にマッチしてその場からしばらく動けなくなるようなものを感じた。なんであろうか、長く待っていた夏の到来、日曜日の夕方という切なさ、Villette sonique、高架橋下というやや退廃的な雰囲気、解放された気持ち、20代最後の年の私の夏は特別な想いがあったのだろうか。ただ単に音楽に惹かれたのではなく、全てが相まってパーフェクトなライブに感じたからこそのものか、このグループに対する思いは何度考えても一言では言い切れない。

現在では2枚目のアルバムも出し、フランス国内をツアーで廻ったりパリでのライブ活動も頻繁に見受けられる。ただ、運が悪くもう何度も逃していて、実は先週の土曜日のLa station というこれまた私が好きな廃墟的なライブ会場でのライブもメモしていたに関わらず、その日に度忘れしてしまい見逃している。かなり好きな割に目の前で演奏を見れたのは2,3回という少なさなのだが、自宅及び移動中での彼らの楽曲の再生回数の多さには誇りを持てる。何が私をそこまでそうさせるのか分からないが、彼らの楽曲を聴かない日はここ最近ないと言い切れる。

影響を受けたわけではないが、8年ぶりに中古のエレキギター、それと小さなアンプを手にし時間を見つけては弾くようにしている。まず初めに、と思ってしたことがBryan's のCEOという曲のコード進行を耳コピーしたこと。



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