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私のカルチエ パリ10区

私の生活拠点は、パリの10区、11区。どちらもいわゆる右岸と言われるセーヌ川の北側にあり、中でもこの2つの区は中心から北東寄りにある。

パリ10区は、日本人向けのガイドブックを見るとあまり推奨されていないことが多い。何故なら危険と言われる北側18区に近いし、あまり雰囲気が良くない北駅、東駅がある区だからだ。だからといって近くを通れば危険なわけでは決してないし、近寄ってはいけないと思ってしまうのは残念。北駅の近くには大きなインド人街があり常に異国の雰囲気が漂っていて興味深いし、10区にはサンマルタン運河という運河が通っており、隣にある19区を突き抜け東の郊外パンタンまで繋がっている。

私の生活拠点の一部となっているのはまさにそのサンマルタン運河沿いの地区であり、そこに私の職場がある。サンマルタン運河とは、10年以上前に話題となった映画アメリで主人公のアメリが橋の上から石を投げて水切りをしていたあの場所だ。そのおかげか、観光名所のようになり年中観光客であふれている。現在はおしゃれな地区としても有名になり、運河沿いは勿論、周辺の小さな道にも個性的でいかにもパリらしい、ブティックやレストラン、カフェが立ち並ぶ。10区の運河沿い地区だとQuai de Valmy, rue Beaurepaire, rue de Marseille, rue de Lancry, rue de la Grange aux Belles などは特に活気がある。運河地区に住む私の上司は、10年前くらいまでこの辺は不良っぽい若者達、売人の溜まり場になっていて今のこことは比べものにならなかったという。今では売人を押しのけて、ヒップスター、Bobo(生活全体に関するおしゃれに敏感で確立した個性を求める人たち)の溜まり場となっている。

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私の今朝の出勤通路。

販売業のため仕事柄、色々な住民に毎日会うのだが、30代くらいの若いカップル、小さな子供がいる若い夫婦、そして昔から住んでいるお年寄りも多く見られ、幅広い年齢層の住民がいる。運河もあり、大きな公園もあるのでここに住もうと思う家族も多いのではないか。繁華街程は栄えておらず、しかし商店街のような暖かい雰囲気があり確かに居心地は良い。私が特に気に入っていることは、ここは下町のような雰囲気があるので気取っていない自然なパリの顔を見られること。決して特別な場所ではないここに居る住民の飾らない姿、まるでエリック・ロメールの映画の中で見ていた現実的な姿。同じ道にある他の個人商店の人たち、私のご近所さん達も同じく自然でさっぱりとした人達が多く、毎日顔を合わせては挨拶をし合ったり世間話をしている。毎晩仕事帰りなのだろうか、夜7時頃に顔を出して挨拶だけ欠かさずにしてくれるおじさんまでいる。向かいのタバコ屋のカフェには朝から夜まで常連さんでいっぱいで、ここに来ることが彼らの日常だということがよくわかる。勝手ながら、私にとっては皆顔なじみだ、向こうも私のことを毎日見ているから同じことかもしれない。何日か見ない顔があると、余計なお世話だが心配している私である。

私の住む11区には及ばないけれど、ここの地区も結構気に入っている。この地区に仕事場があることはちょっとした自慢かもしれない!



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