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世界一有名な日本人医師は?(知念実希人の蛇足カルテ)

世界の医学界で一番有名な日本人医師は誰だと思いますか? 

血清療法の発見に携わった北里柴三郎先生? 

抗体生成にかかわる研究でノーベル医学賞を取った利根川進先生? 

もちろんそのお二人も有名ですが、一般的には川崎先生と言われています(最近ではiPS細胞の山中伸弥教授も超有名ですが)。

え? 川崎先生を知らない? 主に乳幼児がかかる全身性血管炎である川崎病を発見した川崎富作先生のことですよ。

川崎病は日本では年間一万ほどの子供が罹患し、心臓の冠動脈に異常をきたすこともある注意すべき疾患です。

海外でもそのまま『Kawasaki disease』と呼ばれる、日本人の発見者の名前がついている数少ない疾患の一つです(あとは甲状腺機能低下症の『橋本病』ぐらいでしょうか)。

重要な疾患に名前がついていることより、海外でも川崎先生はとても有名なんですね。

さて、病気の中には日本人の名前ではなく、日本語が病名になっているものがあります。その一つが『もやもや病』です。

なんか名前だけ聞くと、気分がモヤモヤする病気のようなイメージがありますが、実際は脳内の動脈の一部が閉塞し、それを補うためのごく細かい血管が発達するという疾患です。

その細かい血管が画像検査で白くもやもやと写るので『もやもや病』と名付けられました(そのネーミングセンスもどうかと思うけど)。

患者の多くは頭痛や失神、けいれん発作などを起こすうえ、その細い血管は脆いため脳出血のリスクが高くなるというかなりシビアな疾患で。そのため、最近では手術による治療も積極的に行われています。

そんな『もやもや病』ですが、なんと海外では『Moyamoya disease』が正式名称として通用します。

以前海外の医療ドラマを見ていたら、登場人物たちが、「Moyamoya」「Moyamoya」と繰り返し言っていて、なんか違和感がありました。日本語が使えない外国の医師たち、彼らは果たして『もやもや』という言葉の意味合いを理解して使っているのでしょうか。

もしかしたら、藻屋藻屋さんとかいう名前の医師が日本にいると思われているのかも知れませんね。


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