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福祉もやっぱりお金が大事

どの市町村においてもそろそろ次年度の保育所入所決定通知が発送されている頃かと思います。私も昨年末から1月にかけて、頼れる優秀な部下にも助けられながらなんとか決定通知発送処理を終えました。週明けからどれくらい反応があるのかなあ、とちょっとナーバスになりかねない時期です。

さて、今回久々に保育所の入所選考に関わったわけですが、若かりし頃に関わったときと今とで障がいのある児童や疾患のある児童の受入れについて、変わったなと思うところと、やっぱり変わってないなと思うところとを書きたいと思います。

変わったなと思うところ

1 「障がい」のイメージ

「障がい児の保育」と聞いて、昔と今とで大きく変わったなと思うところは、「障がい」のイメージです。昔は「障がい」というと身体障がい、知的障がいのイメージを持つことが多かったのですが、保育の世界では「障がい」と聞くと今は圧倒的に「発達障がい」のイメージを持つ関係者が多いと思います(裏付けがなくてすみません)。

国もそういった状況の変化には気づいていて、2007年度(平成19年度)から保育士の加配対象となる障がい児の対象を拡大するといった対策は打っているようです。

2 面接時の対応

これはものすごく細分化された形になりました。疾患に応じて用いる「聞き取り票」の種類も20種類くらいあり、人によって聞き取り時に差が出ないよう工夫されてきています。それだけ面接を受け持つ事業所部門のすることが増えてはいるのですが、正確な聞き取りができることでより安心して保育を受けられるようになっているという点ではポジティブに評価できる点です。

変わっていないなと思うところ

1 受け入れ側のマインド

何を言ってもこれにつきます。実際に関わっているものとして詳細は触れられませんが、私立の保育園で、とりわけ何十年も理事長が変わっていないようなところは明確に障がい児の受入れに嫌悪感を示すところがあります(ごく一部ではありますが)。中には「その子は『大丈夫な子』ですか?」という表現を使ってくる施設もあり、「こいつ何言ってんねん!」と毎度毎度思わされます。まあ、そういう施設は保護者さんの評判も悪いのですが。

こういった施設の悪質なところは、最初は「本人のためを思って」障がい児向けの療育施設の利用を勧めたりするわけです。保護者さんとしては「いつもうちの子を見てくれている保育所がそういうのなら」という気持ちで療育施設の利用を始めると、次に「療育施設に通う回数を増やせ」と言い始めます。これはどういう意図があるかというと、在籍しているけども通っていない日を増やすためです。そうすると保育士加配のための補助金が手に入る一方で、その対象となる児童は利用しない日が増える、つまり「丸儲け」という状態を狙っているわけですよね。闇が深いわ。

2 結局はお金が大事という現実

保育所の側も慈善事業ではありますが、経営として成り立たせなければならないので、そういった対応をしたくなる誘惑にかられてしまうのでしょう。「福祉はお金のためじゃない」とかいう人に今でも時々お会いしますが、そういう人は「やりがい搾取」の加害者が犠牲者のどちらかだと思います。

現在保育所に支払うお金(補助金)は毎月1日時点の在籍児童数を基準に支払われていますが、正直なところ障がい児の受入れに関しては在籍日数ではなく利用時間数に応じて支払われるようにすれば「見せかけ在籍」の問題はかなり改善されるのではないかと思います。

3 担当者の心残り

今回も保育士経験もある同僚の方と話をしていたのですが、入所関係の事務が一山超えると、毎年必ず「あの子を保育所に入れてあげたかったなあ」という思いになります。以前に保育所の担当をしていたときもそうでしたし、今回もそうでした。

こういうときは、神様が「こどもと一緒にいる時間をもっと作りなさい」というメッセージを保護者さんに伝えているのかなあ、と考えるようにしています。

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