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令和5年不動産鑑定士論文試験/会計学/解答速報

はじめに

不動産鑑定士試験受験生の皆さん、こんにちは。

税理士・不動産鑑定士の井上です。

タイトルにある通り、本日(令和5年8月6日)に行われました令和5年度不動産鑑定士論文試験の会計学の解答速報を早速以下にまとめました。

問題は、山口先生のブログ内で公開いただきましたのでそちらをご確認ください。

内容は、棚卸資産会計基準と資産除去債務会計基準からの出題でした。以下解答速報中にも書いてますが、過去問で出題済みの問題が多数含まれており、かつ、基本典型論点ばかりでした。直接質問いただいた方にはお話ししているのですが、昨今の試験傾向(基準穴埋め+典型論点の短文問題)を踏まえた勉強を積み重ねていた受験生であれば十分高得点を狙える回だったと思います。

解答速報

問題1

ア:半製品
イ:仕掛品
ウ:一般管理
エ:消耗品
オ:市場
(不動産鑑定士 H28 過去問で出題済)


②最終仕入原価法


後入先出法とは、最も新しく取得されたものから棚卸資産の払出しが行われ、期末棚卸資産は最も古く取得 されたものからなるとみなして、期末棚卸資産の価額を算定する方法である。
後入先出法の削除理由としては、以下 3 点があげられる。
① 貸借対照表価額が最近の再調達原価の水準と大幅に乖離してしまう可能性がある。
② 棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回る場合には、期間損益計算から排除されてきた保有損益が当期 の損益に計上され、その結果、期間損益が変動することとなる。よって、企業が棚卸資産の購入量を調整することによって、当該保有損益を意図的に当期の損益に計上することもできてしまう。
③ 後入先出法は、一般的に、棚卸資産の実際の流れを忠実に表現しているとはいえない。
④国際的なコンバージェンスを図る。


前期に計上した簿価切下額の戻入れに関して、当期に戻入れを行う方法(洗い替え方式)と、戻し入れを行わない方法(切り離し方式)がある。
洗替え方式は、正味売却価額の回復という事実を反映するため、収益性の低下に着目し た簿価切下げの考え方と整合的である。
切り離し方式は、収益性の低下に基づき過大な帳簿価額を切り下げ、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理において、いったん費用処理した金額を正味売却価額が回復したからといって戻し入れることは、適切ではないという考え方と整合的である。


①トレーディング目的で保有する棚卸資産については、投資者にとって の有用な情報は棚卸資産の期末時点の市場価格に求められると考えられるためである。
②時価をもって貸借対照表価額とし、 帳簿価額との差額(評価差額)は、当期の損益として処理する。

問題2

ア:支出見積り
イ:単一
ウ:発生確率
エ:貨幣の時間価値
オ:帳簿価額


①資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固 定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。(不動産鑑定士H29 過去問で出題済)

②有形固定資産の除去とは、有形固定資産を用役提供から除外することをいう(一 時的に除外する場合を 除く)。除去の具体的な態様としては、売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれるが、 転用や用途変更は含まれない。また、当該有形固定資産が遊休状態になる場合は除去に該当しない。(不動産鑑定士H29過去問で出題済)


a:資産負債の両建処理
b:有形固定資産に対応する除去費用が、減価償却を通じて、当該有形固定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため、資産負債の両建処理は引当金処理を包摂するものといえる。さらに、国際的な会計基準とのコンバージェンスにも資するため、基準は、引当金処理ではなく、資産負債の両建処理を採用している。


引当金処理とは、有形固定資産の除去に係る用役(除去サービス)の費消を、当該有形固定資産の使用に応 じて各期間に費用配分し、それに対応する金額を負債として認識する考え方である。(不動産鑑定士H24過去問で出題済)
引当金処理の場合には、有形固定資産の除去に必要な金額が貸借対照表に計上されないことから、資産除去 債務の負債計上が不十分であるという問題点がある。(不動産鑑定士H24過去問で出題済)


無リスクの割引率が用いられる理由 
✔退職給付債務の算定においても無リスクの割引率が使用されていること(退職給付会計基準との内的整合性の観点)
✔同一内容の債務について、信用リスクの高い企業の方が高い割引率を用いることにより負債計上額が少なくなるという結果は、財政状態を適切に示さないこと(信用リスクを含めた場合の問題点)
✔資産除去債務の性格上、自らの不履行の可能性を前提とする会計処理は適当でないこと(信用リスクを含めた場合の問題点)

はじめまして。ご訪問ありがとうございます。開業税理士の井上幹康と申します。