アコースティック系楽器の宅録機材について
新型コロナウイルスに伴う自粛生活に突入してから、多数の知り合いミュージシャンたちから「宅録を始めたいけれど、どういう機材を買えばいいかわからない」ということで質問をいただいたので、まとめてみました。
必要なもの
1. マイク
2.オーディオインターフェイス
3. DAW
4. コンピュータ
5. マイクスタンド
6. マイクケーブル
(7. ヘッドホンまたはイヤホン)
それでは上から順番に。
1. マイク
なにはともあれこれがないと始まりません! 予算別で紹介していきます。
〜1万円台
この辺りの価格帯はほとんど選択肢がありません。PA現場で広く使われているマイクを2本紹介します。
楽器の方はこちら。SHUREのSM57。PA現場での定番です。
歌の方は、SHUREのSM58がオススメです。こちらも同じくPA現場での定番です。
〜2万円台
オーストリアの新興メーカーLEWITTのエントリーモデルです。比較的なんの楽器とも相性がいいと思います。
ウインドチャイム、シンバル、タンバリンなど金物をキラキラとした音で録りたいときに最適です。ロックっぽいピアノの音も得意です。
〜3万円台
レコーディングスタジオでの定番マイク「C414」シリーズと似た系統の音がするマイクです(品番も似ていますね!)。なんの楽器でも相性がいいですがとくに木管楽器やピアノとの相性がよいな、と個人的には感じています。
コントラバス、テューバなど低音楽器の人たちにはこちらをオススメします。低音系の楽器によく使われるスタジオ定番マイク「U47」を模倣して作られたマイクです。
〜4万円台
先ほど紹介した「C214」の上位機種。こちらはスタジオ定番マイク「C414」と同じ振動板を使っていて、C214の上位互換といった感じの音質がします。得意な楽器はC214と同じ傾向です。
〜5万円台
もともとはボーカル用マイクとして開発されたそうですが、ドラムのトムやキック、小物打楽器との相性が抜群です。
〜6万円台
スタジオ定番の「U87」を模倣したマイク。なんの楽器とも相性がよいと思います。とくに金管楽器や弦楽器、ダブルリード系木管楽器、ピアノにオススメです。
2. オーディオインターフェイス
マイクとコンピュータを繋ぐために必要です。
様々なものがありますが、「ほかの楽器といっしょに録りたい」といったときに買い替える必要がないようにマイクが2本以上入力することができるモデルをオススメします。
〜1万円台
DTMに馴染みのない方には聞いたことがないメーカーかもしれませんが、ヤマハ傘下の会社です。SteinbergのURシリーズはとくにDTM入門者のなかでのシェア率がダントツに高く、なにかトラブルがあったときにも同じユーザーが多いのは心強いです。マイク入力が2つ付いています。
〜2万円台
大型レコーディングスタジオにいけば必ず置いてあるミキシングコンソール卓、それの定番メーカーSolid State Logic社のオーディオインターフェイスです。ボリュームコントローラーのツマミが大きくて使いやすそうです。
この辺りの製品から〜5万円台くらいまでは、基本的に入力や出力の数が増えていくだけで、メーカーごとに音質的傾向に違いはあれどそこまで大きな優劣はありません。自分の使いたい入力数、出力数に合わせて製品を選択してよいと思います。
3. DAW
デジタルオーディオワークステーションの略です。「ディーエーダブリュー」とか「ダウ」とかといった具合に読みます。録音するためのソフトですね。
前項のオーディオインターフェイスに簡易版がついていることも多いのでまずはそれを使ってみてもいいと思いますし、憧れのミュージシャンと同じソフトを使ってみるのもいいかもしれません。操作感に差はあれど、基本的にどのソフトでもできることに大きな差はありません。定番のソフトをいくつかご紹介しておきます。
レコーディングスタジオの定番です。ショートカットキーが非常に豊富で、録音ということにだけ特化すれば最も操作性がよいかもしれません。
こちらも非常にユーザーの多いソフトです。ヤマハ傘下のSteinbergが開発。
元Steinberg開発メンバーたちが中心となって開発したDAWです。
そのほか、Macユーザーしか使えませんが「Logic Pro」などもあります。ほかのDAWと比べてダントツに安いのでMacの方にはオススメです。
4. コンピュータ
Mac/Winどちらでも大丈夫ですが、ある程度のスペックが必要です。
前項で説明したDAWのうち「Cubase 10.5」の動作環境を見てみると……(長々と書いてあるので、とくに重要な部分のみ抜粋します)
・macOS Mojave (10.14) / Catalina (10.15) / Windows 10 (ver. 1809 / ver. 1903) * 64ビット版のみ
・Intel Core i / AMD Ryzen マルチコアプロセッサー (Intel i5 以上推奨)
・推奨 RAM サイズ: 8 GB 以上 (最低 4 GB 以上)
とあります。ソフトによって推奨する動作環境に多少の差はありますが、「Winの場合10、Macの場合10.14以降」「CPUはi5以上」「メモリは8GB以上」という感じでしょうか。これより低いスペックのコンピュータでも動かないことはないかもしれませんが、カクカクしたり録音中止まったりする可能性があります。
5. マイクスタンド
手で持つ、適当な棒で代用するという手もないわけではないですが手で持っているとどうしてもガサガサとノイズが入りますし、落下した場合最悪マイクが破損する可能性があるのでスタンドを用意することを強くオススメします。基本的にマイクスタンドとして売られているものであれば大丈夫ですが、あまり軽いスタンドだと簡単に倒れてしまって危ないのである程度重量があるものをオススメします。
安さ重視ならこちら。
値段は先ほどのMSB/BLACKの倍以上しますがリハーサルスタジオなどでよく置いてある定番マイクスタンドはこちら。重量もしっかりあり、また壊れにくいので長く使うのならこちらをオススメします。
6. マイクケーブル
「XLRケーブル」「キャノンケーブル」とか呼ばれているものがそれに当たります。宅録用途なら3m〜5mくらいあればよいと思います。
安さ重視ならこちら。巻き癖が強い状態で届くので、癖が取れるまでうまく巻くのが少し難しいかもしれません。
PAやレコーディングなどのプロ現場でも使われているケーブルはこちら。巻きやすく、音質も比較的癖が少ないです。
(7. ヘッドホンまたはイヤホン)
既に所有している場合は必要ないですが音漏れがしにくく、かつクリックやオケの音、自分の音がしっかりと聴き取れるものが望ましいです。
レコーディング時のミュージシャンのために開発されたヘッドホンで、すぐ近くで鳴っているかのように音が聴こえてくるので演奏用途としてはとても使いやすいです。反面、奥行き感などは分かりにくい部分があるのでミックス用には別のものを併用するのがオススメです。
まわりのクラシック系ミュージシャンに聴いてもらうと非常に評判が良いヘッドホンです。ミックス向けですが鑑賞用としても使えると思います。
非常に解像度が高く、ヘッドホン特有の「耳のそばで鳴っている感じ」が少なくスピーカーで聴いているような感覚に非常に近いヘッドホンです。ミックスやマスタリングにオススメです。
いかがでしたでしょうか。
投げ銭にしてあるので、ここまで読んで「ためになった!」という方はぜひ。
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