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レコーディングしたものに対して編集でできること、できないこと

「こういう場合って編集で直せますか?」こんな質問を最近しばしば受けるようになったのでまとめました。

まず、レコーディングしたものを編集で修正することに対して「インチキだ!」という考えがとくに「PAにも電子機器にも頼らず生音一本勝負!」のクラシックのプレイヤーのなかであるようで、私自身もクラシック出身なのでその気持ちはとてもよくわかりますが、個人的には音楽は人に感動を与えるためにやっているので、そのための手段として使えるものはなんでも使っていいのでは?と思っています。せっかく友だちとお出かけするのならしっかりお化粧してかわいい服着て出かけたいよね、みたいな(?)。

それでは、Q&A形式でどんどんいきます。

Q1. 間違えた音を消すことはできますか?
A1. ひとりの音しか入っていない録音なら可能です。複数人で演奏している録音の場合、いっしょに鳴っているほかの音も同時に消えてしまうため難しいです。

Q2. テンポを変えることはできますか?
A2. 多少の音質劣化はありますが、できなくはありません。テンポを上げる方向のほうがうまくいきやすいです。元のテンポから大幅に変えると音質劣化が著しく厳しい感じになっていきます。また、ホール収録など残響のある録音の場合はテンポを上げると残響が短く、下げると残響が長くなるので違和感が出やすいです。

Q3. ピッチを直すことはできますか?
A3. ひとりの音しか入っていない録音なら可能です。

Q4. 特定の楽器の音を上げる(下げる)ことはできますか?
A4. 各楽器にマイクが立っていて、マルチトラックの状態で録音されたデータならバランスの調整は可能です。ただ、同じ空間で演奏している場合、例えばドラムなどの場合は非常に音が大きくほとんどの楽器のマイクに大きく収音されているので、ドラムのマイクの音を下げてもそれでもドラムが大きく入ってしまっている、ということがあり得ます。
各楽器にマイクが立っていない場合は不可です。

Q5. 音楽室で録った音をホールで演奏しているかのようにするなど、あとから残響を足すことはできますか?
A5. 可能です。足す空間の広さ、残響の時間などかなり細かく調整可能です。

Q6. ホールで録音したら残響が多すぎたので、あとから残響を減らすことはできますか?
A6. 不可です。増やすことはできても減らすことはできません。

Q7. 家で録音したらエアコンの音がかなり入ってしまいました。直せますか?
A7. ノイズ除去のソフトを使って、目立たなくさせる(不要な音を小さくする)ことは可能です。ただ、常に鳴っている音を除去するのは多少音質的な犠牲もあるので、なるべく入らないように録音するのがベストです。

Q8. イスのギギギッという音が入ってしまいました。消せますか?
A8. こちらもノイズ除去のソフトを使って、目立たなくさせる(不要な音を小さくする)ことは可能です。

Q9. クレッシェンドしていない箇所でクレッシェンドしているように聴かせることはできますか?
A9. 鳴っている音すべてをだんだん大きくすること自体は可能です。ただ、人間は楽器のダイナミクス変化を音量だけでなく音色でも捉えているので、単純に音量だけをだんだん大きくすると違和感が出る場合が多いです。

Q10. 大きな音を小さくすることはできますか?
A10. 鳴っている音すべてを小さくすることは可能です。ただ、Q9と共通していますが、単純に音量だけを小さくしても音色は大きな音を演奏しているときのままなので違和感がでる場合が多いです。

Q11. 2回録音しました。上手くいってる箇所を組み合わせた音源を作りたいです。
A11. 可能ですが、うまく繋がる場合と繋がらない場合があります。
【上手くいきやすいケース】
・テンポが速い箇所
・リズミックな楽想の箇所
・全員が休符になっているなど、無音の隙間がある箇所
【上手くいかないことが多いケース】
・ゆっくりな箇所
・歌うような楽想の箇所
・トリルや伸ばしなど、持続音の途中
・サスペンデッドシンバルやウインドチャイム、ドラなど音が長く残る楽器が鳴っている箇所

また思いついたら書き足します。

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