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ヘッドホンの使い分けについて(私の場合)

こんにちは、作編曲家/レコーディングエンジニアの三國です。

レコーディングエンジニアは、大抵いくつものヘッドホンを使い分けて使っています。

音楽制作に関わりのない人からすると「そんなにたくさん必要なの?」「ただ単にヘッドホンを買うのが好きなんじゃないの?」という声も聞こえたりしてきて……これは必ずしも否定しきれないのですが……笑 私も例に漏れずいくつかのヘッドホン、イヤホンを併用しています。

というわけで今回は、私がそれぞれどういう用途/意図で使い分けているのかを紹介します!


大前提として、作業の中心はスピーカー

ヘッドホンの話に入る前にですが、基本的にレコーディングもミックスもマスタリングも、作業の中心に使っているのはヘッドホンではなくスピーカーです。

ただ、スピーカーでは聴き取りにくい細かい部分を確認したり、ホールレコーディングなどで仮設の録音環境においてスピーカーを用意することができなかったり、またエンドユーザーの視聴環境はイヤホンが多いのでその差を埋めるための確認ツールとして利用しています。

YAMAHA : HPH-MT8

これはホールの舞台袖にベースを組んでレコーディングしているときなど、スピーカーが用意できない環境でのレコーディング時のモニターとして利用しています。理由としては「ヤマハらしい、NS-10Mからの流れを感じるピュアで立ち上がりの早い音」「遮音性が高い」、そしてなんといっても「比較的安価なので万が一壊れても買い替えやすい」!笑

SONY : MDR-MV1

こちらは主にミックス時に利用しています。ミックス時に私がヘッドホンに求めていることは「空間が掴みやすい」「EQやコンプレッサーによる音色変化が掴みやすい」「長時間着けていてもしんどくない」の3点なので、このヘッドホンはそれらを完璧に満たしてくれています。

ULTRASONE : Signature MASTER

こちらはマスタリングで使用しています。マスタリングでは「空間が掴みやすい」「ローエンドからハイエンドまでしっかり見渡せる」「各楽器の音色が捉えやすい」「トランジェントが正確」「ノイズに対してのジャッジが正確におこなえる」を重視していてこのヘッドホンはばっちり。現在は残念ながら流通が止まっていて新品が手に入らない状況のようです……早く再開してー!

SONY : WH-1000XM5

これは毎回使うヘッドホンではないのですが、360 Reality Audio案件のときはエンドユーザーがどういうふうな音で聴こえているのか?の確認のために必ず利用します。

Apple : AirPods Pro

おそらく世界で一番使われているイヤホンだと思うので、このイヤホンで聴いて大きな破綻がないのかチェックは必ずおこないます。また、Dolby Atmos案件のときは必ずAirPods Proで確認もおこないます。

qdc : Studio 8SS

ハイエンドなイヤホンで聴いているユーザーも想定してこちらでも。といってもレコーディングやミックス、マスタリングを想定して作られたイヤホンということもあってここまで紹介したヘッドホン/イヤホンでのチェックを潜り抜けていればこのイヤホンで問題が起きることはまずないのですが、まあ単純に最後に良いイヤホンで音楽聴くのは楽しいので。笑

最後に! SONY : MDR-CD900ST

このヘッドホンの紹介をしなかったので「あれ!?」と思われた方もいるかもしれません!「プロ御用達」「DTMの定番」などと呼ばれていることも多くて、音楽制作をされている方に最も売れているヘッドホンと言われています。
もちろん保有はしているのですが基本的に私個人は使っていなくて、もっぱら「レコーディング時に演奏者が使用するヘッドホン」として使用しています。
このヘッドホン特有の「すぐそばで音が鳴っている感じ」が、演奏しながら聴く音としてはとてもやりやすいようです。

といった具合であくまで記事執筆時点での私の使い分け例でしたが、こんな具合でたくさんのヘッドホンやイヤホンを使い分けているのでした。

最後に、ヘッドホンやイヤホンは耳のすぐそばで使うものということもあって、使用する方の耳の形や頭の大きさの影響をダイレクトに受けます。なのでAさんが良いと言っていたものがBさんにはまったくハマらないこともありますし、逆の場合もありえます。まわりの声はあくまで参考程度にしつつ、自分にぴったりくるものを探して選んでみてください。

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