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CDを作りたい人向け、予算の話

クラシックやジャズ系のプレイヤーから自主制作でCDを作りたい話をよくいただくのですが、「それ先に相談してくれればもっと良い提案できたな〜」とか「ミュージシャンが想定していなかった必要な支出があって、思ったよりお金がかかってしまった」いうことが割とよくあります。

というわけで今回は、「CDを作るにあたって、なにが必要なの?」という話です。

CDを作るのに必要なこと

いきなり本題ですが、CDを作るにあたって以下が必要になってきます。

  1. 楽曲

  2. ミュージシャン

  3. レコーディング

  4. レコーディングする場所

  5. ミキシング

  6. ミキシングする場所

  7. マスタリング

  8. 盤面、オビ、ジャケット、バックインレイのデザイン

  9. プレス

「楽曲」が必要なのは当然、ミュージシャンが必要なのは当然ですしここについて改めてどのくらい費用がかかるのか?ということはみなさんよくご存知だと思うので、それは飛ばして3番のレコーディングについてから順番に話をしていきます。

レコーディングについて

誰に録ってもらうのか?(レコーディングエンジニアを誰にお願いするのか?)これ、めちゃくちゃ大切なことです。誰が録るのかによって音は全然変わります。同じ機材を使っても変わります。

手元にある好きな音のCDのクレジットに書かれた方にお願いしてみるのもいいですし、CDを作ったことのある知人に紹介をお願いしてみるのもいいかもしれません。

料金は人によってかなりまちまちですが一日でいくらとか、一時間でいくらとか、あるいは後述するミキシングと合わせて全部合わせていくらとか色々なパターンがあります。

また録る場所については順序として、レコーディングエンジニアを誰にお願いするか決めた上でその方と相談してどこで録るのか決めたほうがよいです。

なぜなら、「どこで録るのか?」というのが作品の仕上がりに大きな影響を与えるからです。狭い場所で録ったものはやっぱり狭い音(タイトな音)になりますし、広い場所で録ると広い音になります。

私のまわりはクラシックプレイヤーが多いのですが、クラシックにおいては場所についてこれだけの選択肢があると思います。

  1. 自宅で録る

  2. リハーサルスタジオで録る

  3. コンサートホールで録る

  4. レコーディングスタジオで録る

それぞれのメリットデメリットは……(あくまでクラシックにおける話です)

[自宅]
メリット……費用がかからない。落ち着いた環境で録音できる。
デメリット……緊張感が出ない。豪邸でもない限り狭くノイズも多いので音質的には期待できない。

[リハーサルスタジオ]
メリット……コンサートホールやレコーディングスタジオに比べると安い。
デメリット……コンサートホールやレコーディングスタジオに比べると防音が甘い傾向にあるのでほかの部屋からの音が入ってくる可能性がある。狭くてノイズも多いので音質的には期待できない。

[コンサートホール]
メリット……普段のコンサートで演奏している感覚と近い感覚で演奏することができる。空間の広い音で録ることができる。自然な残響がついた状態で演奏ができる。
デメリット……残響をあとから減らすことはできない。録音してみてどんなふうにそのホールの残響が録れるのかは録ってみないとわからない。

[レコーディングスタジオ]
メリット……あとからミキシングでの音作りの自由度が高い音が録れる。レコーディングするために作られた場所なので気持ちよく過ごせるような工夫がされている(コーヒー完備だったり、ゆっくりできるソファーがあったり、調音されたコントロールルームでプレイバックを聴けるので演奏に対するジャッジがしやすかったり)。
デメリット……演奏しているときの残響はヘッドホンごしにしか聴くことができない。レコーディングスタジオは一部の大都市にしかそもそもほとんど存在していないからミュージシャンが地方在住だと交通費/宿泊費がかかる。

また、できれば……ですが、客観的に演奏に対してジャッジして指示をしてくれるディレクターがいるとレコーディング時間を圧縮できるので(演奏しているメンバーだけですべてを判断だとテイク数がかさんでどんどん疲れてしまって、不本意な出来になってしまうことがあります)可能であればディレクターを立てることをおすすめします。移行で説明するミキシングやマスタリングの仕上がりについて演奏メンバーで意見が食い違ったときに、ディレクターがいればディレクターに客観的な意見を求めることができます。

ミキシングについて

これも、誰にお願いするのかによって仕上がりが大きく変わります。費用を抑えるためにレコーディングは自分たちでやって、ミキシングについてはプロにお任せする……という方法もないわけではありません。

ただ、ミキシングで大きく仕上がりが変わるとはいいつつもレコーディングで上手くいっていない部分はどうにもならないことも多いので、うまく録音できるか自信がない場合はレコーディングとミキシングを同じ人にお願いするのがよいです。

ミキシングはオンラインでwavファイルを送ってやり取りをする場合もあれば、スタジオに集まっていっしょに確認しながら進める場合があります。
オンラインの場合は自分が慣れている環境で聴くことができますし、スタジオであればメンバーの意見を聞きながら進められるメリットがあります。
ある程度オンラインでやり取りをして、最後にスタジオに集まってみんなで確認をするという場合もあります。

料金は1曲いくらだったり、スタジオに集まって作業する場合であれば1時間いくらだったり、アルバムすべてまとめていくら……といういろんなパターンがあります。

マスタリング

アルバムとしてリリースする場合、それぞれの曲の質感を調整してアルバムとして統一感をあるものにしたり、曲間を調整したり、プレス工場に送るためのデータ(DDP)を作成したり……ということがミキシングのあとに必要です。この工程がマスタリングです。
配信で単曲リリースの場合でも、クオリティーアップのためにマスタリングエンジニアにマスタリングをお願いすることもあります。ここで作ったものがそのままプレスや配信に回るので、音作りにおける最後の砦です。

ミキシングを担当してもらった方にそのままお願いすることもできますが、曲を細部まで知りすぎていると客観的に聴くことができずやりにくかったりするのでマスタリング専門の方にお願いするのがベストです。

料金は1曲いくらだったり、1時間いくらだったり、アルバムすべてまとめていくら……とこれもいろんなパターンがあります。

盤面、オビ、ジャケット、バックインレイのデザイン

自前でおこなう場合はとくに気にしなくてよいですが、デザイナーに外注する場合は「レコーディングから同行して写真撮ってればこういうデザインができたのに!」などもあるので早めに相談したほうがよいでしょう。

プレス

国内でプレスしたほうが品質が良く(=読み取りエラーが少なく音が良い)、海外でプレスしたほうが金額が抑えられる傾向にあります。だいたい100枚作るのも1,000枚作るのもさほど差がないくらいの金額になります。

プレスについてはマスタリングエンジニアが詳しいので、おすすめのところなど相談してみるのもよいでしょう。

投げ銭にしてあるので「役に立った!」という方はよければぜひ〜。

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