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「認知科学」、マジカルナンバーの話と諸効果 (7)

7 諸効果 (1)

 ◎「ゴルディロックス効果」
 日本人には「松竹梅の法則」で知られています。ゴルディロックス効果もマジカルナンバーと同じく、3つの選択肢を推奨しています。3つの選択肢を「松竹梅」のようにグレード分けすると、「2:5:3」の割合で選ばれるようになります。つまり「選ばせたい選択肢は真ん中にすべし」ということです。権威や有名人による影響で輝いて見えるのです。

◎「ハロー効果」
 
ハロー効果は後光効果とも呼ばれ、人物や物事の印象が外部要素によって影響を受けることを指します。トップセールスマンはハロー効果の重要性を理解しています。そのため、髪型やスーツなどの身なりを整え、時計・靴・鞄にこだわるのです。ハロー効果は、ビジネスシーンの商談において成約に直結するほど重要です。たとえば、ヨレヨレのスーツを着ていたり、愛想が悪かったりする営業パーソンがいるとします。どれだけ自社の商品・サービスの質が高くても、営業パーソンの印象により「あの会社からは買わない」というお客様は少なくありません。ネガティブ・ハロー効果のわかりやすい例といえるでしょう。
 マーケティングではその道の権威やプロフェッショナルの証言による根拠づけや、芸能人やタレントなどのおすすめによって、商材に説得力を持たせることに使われます。製品の技術的水準を評価する「モンドセレクション受賞」や、「ミシュランの三ツ星取得レストラン」「G7サミットで使用された会議室」などもハロー効果によって良い印象を与えている記載の例と言えます。ハロー効果をMA(マーケティングオートメーション)で活用するには、ランディングページへの記載はもちろん、メールの件名に受賞歴を入れたり「マーケティングの権威〇〇氏がセミナーに登壇」などのように開封率やクリック率を高める記載に有効です。 
    ハロー効果とは、対象の特徴的な部分や功績に着目し過ぎてしまい、評価に偏りが生じる心理現象のことです。社会心理学でいう「認知バイアス」にあたり、人間の脳が持つ偏った思考が要因とされています。たとえば、有名女優が出演する化粧品のTVコマーシャルを見て「○○さんが使っているから綺麗になりそう、欲しい」と感じるのも、ハロー効果によるものです。反対に、「SNSで炎上した○○さんが使っていたのか……やめておこうかな」といったネガティブ・ハロー効果もあります。私たち人間の脳は、たった1つのポジティブ・ネガティブな事柄により、偏った思考で対象を評価してしまうのです。                           (つづく)

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