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マイ 投稿・寄稿 15

15 「平和都市宣言」と多文化共生の街づくり‼


 国際的シンクタンクの経済平和研究所による「世界平和度指数(Global Peace Index;GPI)」(2023年版)で1位となっているのはアイスランド、日本は9位にランクインしています。「社会の安全・治安」では1位のフィンランドに次いで2位。社会全体の治安の良さが表れたようです。

 しかし、実際には、元首相を手製の銃で殺害する事件をはじめとする殺人・傷害事件、詐欺・強盗、弱者や子供たちが犠牲になる事件が起こり、令和6年能登半島地震や自然災害が多発。決して安全・安心な国とは言えません。また、ロシアのウクライナ侵攻や中東紛争など戦争・紛争が続き、国際秩序が揺らいで核の脅威が高まる中、「平和ぼけ」が心配です。日本は世界で唯一原爆の悲惨な被害を受けた国です。八月六日は広島に、八月九日は長崎に原爆が投下された日で、八月十五日は日本が無条件降伏した第二次世界大戦終戦記念日です。いずれも1945年(昭和20)のことで忘れてはいけません。

 私は父が第二次世界大戦後満州から無事帰還してこの世に生を受けました。戦争体験がありません。しかし、子供の頃、父は酒を飲むたびにつらいシベリア抑留体験を一人語りしていました。酒癖が悪いと避けていましたが、今は亡き父の話をもっと聴いてあげればよかったと後悔しています。

 石原莞爾(かんじ)(1889(明治22)~1949(昭和24)は鶴岡市生れで、元陸軍中将、関東軍参謀として満州国建国に関与。日中戦争に反対し、当時の首相東条英機と対立。日蓮の哲理と欧州戦史の研究を融合させ、「世界最終戦論」という独自の戦争理論を形成。第二次世界大戦後は「都市解体」「農工一体」「簡素生活」の平和三原則を提唱し、戦争放棄を主張しました。

 1984年(昭和59)に藤島町「非核平和の町」宣言、1985年(昭和60)には鶴岡市が旧市平和都市宣言議決、平和都市宣言を求める会運動(2008年(平成20)など紆余曲折を経て2011年(平成23)には鶴岡市議会では「世界唯一の被爆国である日本に住む私たちは、核兵器をはじめとする大量破壊兵器の速やかな廃絶を訴えます。私たち鶴岡市民は戦争のない永遠の平和と文化の構築を強く決意し、ここに「平和都市」を宣言します」と議決しました。

 その後、鶴岡市は毎年8月に、二度と戦争を起こさない誓いを新たにするため「鶴岡市平和の集い・資料展」を開催。市内に残る戦争関連の史跡・施設等を地域ごとにまとめたマップや鶴岡市・戦争関連資料(寄贈品)リストもあり、市のHPで閲覧できます。

 鶴岡市は国際交流・多文化共生推進のため、安全に安心して生活できるよう防災情報を提供する「鶴岡市在住外国人のための防災ハンドブック」(2023年版)を作成。やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語の5言語版があります。

 第二次世界大戦終戦(1945年)から来年で戦後80年を迎えます。現在も国家間の軍事衝突が世界で起きています。世界大戦など歴史に学ばない人間の愚かさを痛感します。そこであらためて、私が尊敬する一人であるジョン・F・ケネディ元米国大統領のアメリカン大学卒業式での演説(1963.6.10)を思い出します。「平和の戦略 (The Strategy of Peace) 」という題で、アメリカ至上主義の否定、未来永劫の平和主義を唱道する言葉を味わいたい。

 「私が平和について語りたいのは、戦争が新しい様相を見せているからです。複数の大国が強力な核兵器を持ち、そうした戦力に訴えずに降伏することのない時代には、全面戦争に意味はありません。たった1つの核兵器に、第二次世界大戦で連合軍の全空軍が投下した爆弾の10倍もの威力がある時代には、全面戦争は無意味です。核兵器を含む戦いで生み出された毒物が、風、水、土、種によって地上の隅々に達し、まだ生まれぬ世代にも影響をもたらすような時代には、全面戦争は無意味なのです。」(中略)「世界平和は、地域社会の平和と同じく、隣人愛を全員に要求するものではありません。ただ互いに寛容の心を持ち、争いを公正かつ平和的に解決しながら、共に生きることだけを求めるものです。そして歴史は、人と人との対立と同じように、国同士の対立も永遠には続かないことを教えてくれます。」(中略)「たゆまずに努力を続けましょう。平和は実現できないものではなく、戦争は避けられないものではありません。」(演説の一部邦訳)

 平和な多文化共生社会を作るためには、世界各国、都道府県・市町村及び企業、学校、市民団体、個人がそれぞれの立場で連携・協働する必要があります。英語教育にかかわり、定年退職後約10年間山形大学農学部の外国人留学生に英語を通して日本語・文化を教えた経験を活かし、平和な多文化共生社会づくりに貢献し続けたいと思います。(『鶴岡タイムス』2024.4.15、267回)掲載)  (つづく)


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