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父がようやくCDプレーヤーを買った時


私は小学生の時に洋楽に目覚めた

多分マイケル・ジャクソンを聞いていた
姉の影響だったと思う

学校では少数派だったため、
一歩先を行っているようで嬉しかった

まだ音楽をレコードで聴く時代だった

私も洋楽でいくつか欲しいレコードがあったが、
子供だったから買ってもらえないだろう
と思っていた

だが、音楽やトレンドに興味のない父には
「洋楽」というと、文化的な印象があったようで、
予想に反して、あっさり買ってもらえたのだった

そんな中の1枚が
ジャーニーのアルバム『エスケイプ』だ

私がダントツで好きだったのは
「ドント・ストップ・ビリーヴィン」
スティーブ・ペリーの歌声に魅せられた

のちに映画『海猿 ウミザル』の主題歌になった
「オープン・アームズ」も収録されている

ちなみにジャーニーというと、次のアルバム
『フロンティアーズ』に収録されている
「セパレイト・ウェイズ」が
TBSのWBCテーマ曲に使われていたのが
記憶に新しい


生意気にも来日コンサートにも行った
母や姉と一緒だったと思うが
チケットは自分で買いに行った

外苑前のウドー音楽事務所へ行き、
「ジャーニーのチケットをください」
という声が小さすぎたのか、
子供が来たと、からかわれたのか、
何度か聞き返されて恥ずかしかった
早く大人になりたいと思った

初めての洋楽アーティストのコンサートも
嬉しい気持ちより、周りの熱気に圧倒され、
乗り切れない自分が恥ずかしかった
早く大人になりたいと思った


そして月日は流れ、
音楽はCDで聴く時代となった

父は最新の音楽にも最新の音楽機器にも
興味がなかったため、
CDプレーヤーをなかなか買おうとはしなかった

何度かうったえたが、まだ必要ないと
相手にしてもらえなかった

もしCDを買っても家で聴くことはできない

だんだんと家では音楽を聴かなくなっていった

社会人になっても
自分でCDプレーヤーを買う気にもならなかった
もうその頃には音楽に興味がなくなっていたからだ


さらに月日は流れ、
ある日突然、父がCDプレーヤーを買った

レコードプレーヤーが故障し、修理に出すも
部品が取り寄せとなり、時間がかかると言われ、
それよりCDプレーヤーを買ったらどうか、
と電気屋さんがすすめてくれたからだった

確かソニーの最新のものだったと思う
父は嬉しそうに、CD買いに行かないとなあ、
などと言っていた


やっとか


私もようやく
自分でCDを買ってみようという気になった

そして手にしたのは、なぜか
ジャーニーの『エスケイプ』


今や音楽は配信で聴く時代
ジャーニーもサブスクでいつでも聴ける

断捨離で、物への執着がなくなっていき、
配信で聴ける曲のCDは、数年前に大量に手放した

私が初めて買ったCDは見当たらないので、
その時にブックオフに出してしまったようだ

でもレコードは手放すことができず、
今でも持っている

結局、私は、配信でも、CDでもなく
レコード世代ということなのかもしれない



お読みいただき、ありがとうございました!


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