終わらない女たちの哀しみ エィミ・タン『ジョイ・ラック・クラブ』
人の苦しみ・悲しみを「なかったこと」にするのは意外と簡単だと思う。語らない、それだけでいいのだ。語ることによって過去に命が与えられ、受け継がれていく。エィミ・タン氏が描いたこの物語は1989年にアメリカで出版されるや否や、大ベストセラーとなったという。その要因の一つとして、フィクションではあるが、多くの女性がこう思ったからではないかーーー「これは私の物語だ」と。2012年公開の映画『少女は自転車に乗って』(※1)、2019年出版の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(※2)より