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踏切 二題

☆今日は,怪談系の話です。苦手な人はまた別の日か,伊那とにゃんの日々miniで,お会いしましょう。


母方のおばの話

母のすぐ上の姉,仮にA子とします。
A子はまだ当時,昭和30年代だったから,中学卒業後,すぐ紡績会社に就職し,寮に入りながら働いていた。
寮にも慣れ,仕事にも少し慣れた頃,夕飯を食べた後,同僚Bと一緒に,寮の近所を散歩していた。

大きな汽笛が近くで鳴ったと思ったら,ものすごいすごいブレーキ音がして,ドン!と何かがぶつかった音。
会社のすぐ近くには,線路と踏切があった。

隣の同僚Bは腰を抜かして,道にへたり込んでいる。
目はうつろだ。
「あれ,あれ,A子ちゃんあれ‥」
指さす方向を見ると,そこには,汽車に轢かれた遺体がバラバラに散らばっていた。
同僚Bは,飛び込みの一部始終,A子は,遺体を見てしまった。
聞けば,A子やBと一緒に就職した子が,仕事や人間関係に悩み,発作的に汽車に飛び込み自殺したのだという。

2人は,寮に戻ったが,汽車のブレーキ音が耳から離れず,布団に寝ていると,バラバラになった女の子が,血だらけになって出て来るので,毎日眠れず,食事ものどを通らなくなってしまった。

事故からすぐ,Bは両親が迎えに来て,精神科に入院したという。
おばA子もまもなく会社を辞め,寮を出て,しばらく,自宅で静養した。

遠足の日

私が経験した事。
中学2年の時,電車で遠足へ行く機会があった。
最寄り駅まで電車で行き,そこから目的地に歩いて行く。

行きは,何事もなく無事,目的地に着き,お弁当を食べてまた歩いて駅まで戻ってきた。駅から電車に乗って,私は,先頭車で,友達Kと話をしていた。
私は、先頭車のガラスに背を向けて,友達Kは先頭車に向かって立っていた。突然,友達Kがびっくりした顔で,黙り込む。
走っていた電車が急に停まったと思ったら,先生や,同級生,電車の乗組員達が騒ぎはじめた。

乗っていた時に,現場のあとは見たのだが,詳細は教えてもらえなかったので,家で見たニュースによると,
ヘッドフォンをしてマラソンの練習をしていた,高校生が,踏切の機械の付いていない踏切に,電車に気が付かないで入ってしまい,はねられたそうだ。
私と話していた友達Kは,線路内で,ハッとびっくりした顔の事故直前の高校生の顔を見てしまった。

電車の先頭車のガラスには,亡くなった彼女の身体の一部と思われる,透明な液体が付いていたのを今でもはっきり覚えている。

現場検証などあり,だいぶ待って,地元の駅に戻り,家に帰った。
自分達は何もしてないけれど,乗っていた電車が彼女をはねてしまったのだから,彼女が夜中もし,家に来たらどうしようと思いながら,布団に入った。疲れているのに,なかなか眠れなかった。
私の家には来なかったが,後で,うちにはきた,という話は友人の中に,あった。

亡くなるなんて思ってなかったのに,急に,自分の命がなくなってしまったら,なんで?とか,どうして?とか,やっぱり気持ちは残るんだろうなと思う出来事だった。

最後まで,記事を読んで頂きありがとうございました😊また,もし良かったら,遊びに来てくださいね!