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紹介会社経由の受注 ~ファネル分析~

ファネル(Funnel)分析というものがある。
これはマーケティングの分野で良く使われる手法で、顧客の購買行動を段階的に分けて分析し、それらの課題・解決方法を見出していく手法のことである。

この分析の詳細は他に譲るとするが、分析のグラフが下記の写真のようなファネル(漏斗(じょうご))に似ているのでこの名前が付いている。
そう言えば漏斗って、その昔、学校の研究室で一斗缶に入っているアルコールを別の容器に移すのによく使っていたのだがもう何十年も見ていないな。


ウィキペディアより引用


自分のコンサル・支援領域は経営管理や技術開発、製造、品質辺りなので、使用するグラフは相関図やパレートなどが多く、ファネル分析を行うことは稀なのだが、先日、出張移動中に富士山を見た時に「紹介会社経由の受注までの各段階ってどうなっているのだろう?」と思い立ち分析をしてみようと思った次第である。(ウソ!)

ここで言う「紹介会社」とは、以前の記事「思い違いによるミスマッチ ~最近流行りの「顧問」~」などで触れているコンサル系の仕事を紹介してくれる会社のことで、自社の営業活動で賄いきれない部分の補完として利用している。

では、軽く分析へ。

各段階(フェーズ)の分解は、紹介から受注までの流れそのままに以下のように設定している。

フェーズ1:紹介会社からの打診(この仕事できますか?)
フェーズ2:弊社内での判断(この仕事できるかな?)
フェーズ3:顧客との面接(こりゃこりゃかくかくじかじか)
フェーズ4:受注(あざ~す)

で、過去4年間のデータを集計した結果は以下のようになった。
各フェーズにおける数値はフェーズ1を起点としたものである。
また、紹介会社数や案件紹介数などは伏せ割合だけで表記している。


(フェーズ1) 案件の紹介->弊社の判断 88.2%
紹介会社に案件を依頼され、弊社での判断結果までの段階

・紹介会社からの話の88.2%が弊社で「対応可能」と判断しており、紹介会社の人選(登録しているどの人(コンサル)に依頼するか?)は妥当であると考えられる。
・上記、紹介会社や担当者に依存するものの、稀に自分の専門領域から大幅にハズれた依頼があるのも事実。これは、紹介会社の担当者が業界間の違いをあまり理解しておらず、大きな括りでのキーワードで打診してくることに起因していると思われる。ただ、担当者が細部に渡って理解することも酷な話であると考えており、紹介会社に提出している経歴書をもっとわかりやすく記載することやコマめなアップデートが必要であると思われる。
・稀に「顧客のこの部門の人を知っていたら紹介できませんか?」という人脈紹介の依頼があり「対応不可」としてカウントしている。また、これは紹介会社のやり方とのミスマッチであるため退会しても良いかなと感じている。

(フェーズ2) 弊社判断->面談 46.7%(41.2%)
*)括弧内はフェーズ1を起点とした数値である。
弊社で「できますよ~」と回答してから顧客が「では、逢って話を聞いてみよう(面談)」の段階

・弊社で対応可能と判断し、実際に顧客が面接をしてみようと思う割合が46.7%であり、この段階で約半分になる。
・顧客は基本的に複数社に打診しているので、その段階で紙上での戦いが繰り広げられている。
・各フェーズ間で見ると、この段階に移行する割合が一番小さく、受注率を上げるためにはこの段階での行動が課題。
・現状、経歴書に合わせて提案書等の資料を出し切れていないところがあるためこれを徹底すれば移行率は向上すると考えられる。

(フェーズ3) 面談->受注 71.4%(29.4%)
面談を実施し、顧客が「よし、発注しよう」という段階

・顧客は当然複数のコンサルと面談しているため、このフェーズは競合のコンサルの方々とのガチでの勝負である。
・失注した事例を細かく分析してみると、自分の専門性から若干ハズれたものであり、競合の方の方が顧客の要件によりマッチしていたと考えられ、自分の専門性領域の狭さ、つまり経験不足に起因していると考えられる。
・ただ、個人的には面接からの受注率が7割強であり、この数値は悪いものではないと考えている。

ってな感じで軽く分析をしてみると、紹介会社からの案件の受注率を向上させるための課題が見え、それをどのような業務プロセスに落とし込めば良いかが見えてくる。

(フェーズ1)
・紹介会社が顧客に説明するためにわかりやすい経歴書を作る
 運用として経歴書はコマめにアップデートする
(フェーズ2)
・案件に対する提案書を充実させる
 時間的な余裕がないため、フォーマット化や半自動化を検討する
(フェーズ3)
・自分の専門領域を再確認し、それをどの方向に広げていくかを明確にする

以上、事例を交えてファネル分析の説明をしてきたが、マーケティングのみならず、段階を持った業務であれば適用可能なので利用されてみてはどうだろうか?


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