イタリアに住めたらいいなぁ、と漠然と思っても
いつ？どこに？ヴィザは？
と考え始めたら不安が入道雲のようにムクムクと。

その時の私は28歳。もしイタリアに住めてもいやになったらどうしよう？
仮定の仮定で悩んでいました。

海外旅行専門の旅行会社で添乗員の仕事をしていて、
年に数回はイタリアに来ていました。
長いバスの移動の時、現地イタリア人スタッフにぽろっと、それを伝えると
「え？来てみて住んでみればいいじゃない。
3ヶ月までならヴィザも要らないよ。それでいやだったらまた日本に戻れば？
私なんてこれで子供も産んで、シングルマザー、来月からカナダに住むのよ。」
彼女は、肘の先は動くことのない義手を振りながら言いました。
「利き腕だったんだよ。」とウインクしながら。

そうかぁ、そうだよね。
いやだったら、戻ればいいんだ。

彼女のシンプルでポジティブな考え方で、すっかり後ろ向きな気持ちが振り切れました。

それからもう20年以上の月日があっという間に過ぎて
歴史深い街で、自分の感情に素直な人に囲まれて刺激的な毎日。
今でも新しい事を学ぶ日々です。

そんなイタリアの魅力の数々をこれから少しずつ紹介していこうと思います。