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温泉はなぜ体にいいのか

日本には、たくさんの温泉があります。
旅行に行くなら、やっぱり温泉のあるところにいきたい!

ただ、温泉は好きなものの、ずっと疑問に思っていることがあります。

温泉って、具体的に何がいいの?

温泉には、どういう効果があるか書かれていますね。血行促進、冷え性改善、筋肉痛緩和…

…普通のお湯でもそうじゃない?

体が温まったら血行促進になるし、代謝が良くなって老廃物も除去される。イマイチ、「温泉ならではの効能」がわからず、なんとなくモヤモヤしていました。

そんな時に見つけたこちらの著書!

『温泉はなぜ体にいいのか』

私が知りたかったやつだ!!!

こちらの著者の松田さんは、温泉観光学から温泉文化論、温泉医学まで研究している、国際的な温泉学者だそう。これは期待できます…!

本書では温泉の歴史や文化的な話も触れており、こちらも面白いのですが、この記事では、気になっていた温泉医学の部分について触れていこうと思います。

読むぞ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!

酸化体質にある私たちの体

前提として、不健康な状態の体について知る必要があります。その状態とは、血液が酸性に傾いている状態
肉類、乳製品、動物性タンパク質中心のアメリカ的な食事を続けていたり、ストレスなどが要因として挙げられます。

血液が酸性状態になると、通常よりも活性化された、"活性酸素"が増加するらしい。
活性酸素についての説明は少なかったので、調べてみました。

活性酸素は、白血球がつくり出して放出することで病原体を攻撃します。ナチュラルキラー細胞も、活性酸素を用いてがん細胞やウイルス感染細胞を攻撃するなど、免疫機能などにおいて欠かせない役割を果たしているそうです。
(参考:https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/310

そんな大切な活性酸素ですが、不安定で変成しやすい特性があります
そのため、過剰に活性酸素が蓄積すると、必要のない変成も起こりやすくなります。

具体的には細胞を酸化し、変成させ、細胞膜を破壊します。これを"酸化ストレス状態"と言い、ミトコンドリアやDNAを傷つけ、がん化にもつながってしまいます。やだ〜!

本来私たちの血液は、pH7.35~7.45の弱アルカリ性が正常らしく、こうなるためには、野菜をしっかり摂取することが重要です。
しかし、厚生労働省が呼び掛けている一日350g以上の摂取をクリアしている人は多くありません。

そのため、酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化ストレス状態になっている人がほとんどです。
がん、脳卒中、動脈硬化、認知症などの生活習慣病の約90%は、酸化ストレス状態から始まると言われています。
美肌を損ねる原因も活性酸素による酸化らしい。

そこで、こちらの著書では、私たちの体が不健康な酸化状態にあるか、あるいは健康な還元状態にあるかに焦点をあて、

「酸化状態にある体を温泉浴によって改善、つまり還元状態に戻すことができるのか否か」を検証して、温泉の予防医学としての有用性を実証します。

温泉が体にいい理由は抗酸化作用にあった

結論から言うと、温泉、めちゃくちゃ効能ありました。
よかった~~~~~~~~~~~!

効果の実証は、モニターを利用した統計になります。
様々な温泉で、
・3泊4日のプチ湯治(一日3,4回入浴)モニター
・3か月間通い(週2回)モニター
など、協力してもらい、他にも複数のパターンで検証した結果をまとめています。

確認方法は唾液や血液検査、そのほかにも色々検査がありました。細かくは著書をご覧いただければと思います。
素人目線ですが、問題ない検証条件かと思いました。

唾液による検証:酸化還元電位の改善

唾液により、酸化還元電位という値を調べたところ、どの温泉、どのモニターの場合でも、数値が改善しました。

週2回、3ヶ月間の通い湯治モニターは、酸化還元電位の平均値が「酸化」→「還元」という分類に改善されました。

さらに、3泊4日モニターは、元々酸化還元電位の値が「還元」に分類される人が多く、元々健康的だったものの、3日後には平均で「良還元」となり、さらに健康度が高まったそうです。

食生活や喫煙、飲酒など日常生活はそのままで検証しているため、温泉浴によって抗酸化効果があったといえます。

なお、唾液については、岡澤美江子医師による延べ3500人に及ぶ「酸化還元電位と唾液」の検証結果から、唾液は体の健康状態を反映することが判明しているそうです。
血液がそのまま唾液になっている訳では無いものの、唾液の成分は、血液を反映しているとのことです。

血液検査:抗酸化測定

さらに、唾液検査よりもさらに精密な血液検査によって、血中の抗酸化力測定も行っています。
数値が大きいほど細胞の酸化を防いだり抑制できるとされていて2200~4000μmolが正常域です。

こちらも改善が見られ、具体的には

週一回通いモニター(3ヶ月間)は1840.6μmol→2137.7μmolと、
あと少しで適値に迫るボーダーラインに改善し、
週二回通いモニターは、1955.5μmol→2270.9μmolと、
有意に増加し、適値にはいりました。

この結果から、単純に入浴回数が多いほど、野菜、果物から摂取している抗酸化物質を温泉からも多く摂取できることがわかります。

(含有成分が薄いと言われる、単純温泉でも確認して、様々なパターンにおいて実証できたとのこと!)

この検証から、温泉浴の効果は温熱効果が最上位にあるとされていたものの、温泉の抗酸化力も侮れないことが判明されました

これが知りたかった…!!!

温熱効果以外の温泉の効能が、やっと理解できました。
単純に抗酸化作用のある栄養やその他の成分を皮膚から摂取しているイメージでいいのですね。

酸化ストレス度(硫黄泉の効果)

前述した通り、生活習慣病の大半は酸化ストレス状態から始まると考えられており、酸化ストレス防御性は極めて重要です。

そこで、「抗酸化力」に引き続き、「酸化ストレス度」も測定しています。

結果、こちらも、活性酸素を効率的に減少できていることがわかりました。すごすぎ!

さらに、日本の温泉の特徴でもある硫黄泉では、特に活性酸素を消去できることがわかりました。
「硫黄泉は万病に効く」とも言われるそうですが、その理由は活性酸素を消去できるからだったようです。

それが何故なのかは、触れられていませんでしたが、硫黄泉にも効果があるとわかってうれしい気持ちです。
硫黄って臭いも強くて、毒のイメージもあるので、健康面は気になります。

美肌効果

温泉で気になることと言えば、美肌効果!
こちらも温熱効果というよりは、温泉成分が大事な要素ですね!

著書では、肌造りの湯と言われる、「俵山温泉」をいくつかの角度から化学的に検証することで、温泉が効くことを美容の面から分析しています。

皮膚の健康度を示す指標

皮膚の健康度をチェックする指標として、pHを用います。
健康的な皮膚は、体内に侵入する細菌類を防ぐため、弱酸性になっています。そのため、肌が弱酸性にあるかを調べるためにpHを使います。

ただ一つ注意として、「酸性=酸化」ではないらしい。
pHは、酸性物の量(濃度)を表すのに対し、
酸化の強弱は、酸化還元電位(電子の濃度)で表すようです。

私の頭では、この説明で理解できなかったので調べたのですが、
酸化還元電位とは、酸化反応(電子の放出)の起こりやすさ。
pHは、水素イオン濃度なので、単純にどういう性質(酸性またはアルカリ性)か。
という話だと思います。間違ってたらすみません!

さて、肌は、脂性肌では酸性、乾燥肌ではアルカリ性に傾きます。
そして美肌はpH4.5~6.0前後の範囲と考えます。

石鹸やボディーソープはかなり強いアルカリ性ですが、健康な皮膚であれば2,3時間で元に戻るそう。なので、アルカリ性=悪!という話ではないようです。

そして、人の皮膚は弱酸性であると同時に還元系でもあります。従って、塩素系薬剤が使用されている水道水を沸かした風呂や、温泉であっても濾過・循環方式の塩素系殺菌風呂に使ったあとは、皮膚が酸化されます。

は、はぇ~…難しくなってきた!化学って感じ!
塩素の混じった水につかると、皮膚にある電子が塩素の還元に使われてしまい、皮膚が酸化してしまう…という事かと思います。

検証結果

俵山温泉はpH9.8と、非常にアルカリ性が強く、また還元力を有した温泉です。この温泉で湯治すると、皮膚のpH値や酸化還元電位がどう変化するかを検証しています。

まずpHからみていくと、
プチ湯治モニター、通い湯治モニターの双方とも、湯治後のpHが減少しました(皮膚が酸性に傾いた)。
これは、強アルカリ性の源泉に触れることで、アルカリ中和機能が働き、脂性肌に傾いたと考えられます。
皮膚の老化やアトピー性皮膚炎の場合、アルカリ中和能は低いらしいのですが、俵山での温泉浴によって、アルカリ中和能が高まり、皮膚のアンチエイジングに効果がでるようです。

次に、酸化還元電位をみてみると、どちらのモニターも、酸化還元電位が減少しました。つまり、美白力、肌のハリが強化されたということです。

…そうなの?
酸化還元電位が減少する=美白力、肌のハリが強化されるというところについて、読み返してもはっきりと理解できません。私の頭が追い付いていない。

なので、私の解釈を記述します。まず、著書の中で、
「シミは、紫外線によって発生した活性酸素から肌を守るためのメラニン色素。シワは肌を支えるタンパク質、コラーゲンやエラスチンが、活性酸素がもとで一重項酸素によって酸化された結果」だと説明されています。

一重項酸素というのがよくわからないのですが、要は活性酸素によってシミやシワが発生するという事。
そして、酸化還元電位が減少するということは、肌の還元力(抗酸化力)が増加したことを指していて、結果シミやシワの予防になる…ということでしょうか。あくまで予防の話だと思います。

もしかすると、酸化してしまったタンパク質等(つまりシワ)を、もとに戻すほどの還元力を有しているのかもしれません。そうだとしたら、肌のハリが強化されているというのもうなずけます。

なにはともあれ、温泉は美肌効果もちゃんとあるということ!
やった~~~!脱線してしまいすみません!

さて、この美肌の原因は、硫化物、水素分子、鉄(Ⅱ)イオンなどの還元剤の作用が強いためだそう。
これらは皮膚の下の結合組織から、血液、リンパ液に入り、全身の細胞へ運ばれることで、皮膚の還元力を増加させる効果のほかにも、老化、疫病の原因となる活性酸素を消去、抑制する効果があるそうです。

一方で、同じ湯を循環させて何度も使い回したり、塩素系薬剤などで酸化された温泉では、このような還元剤は体内へ取り込まれないことも説明されています。塩素には注意ってことですね。

もちろん温熱効果も効果的

こちらは知られている話が多いので短めにお伝えしますが、もちろん、温泉の温熱効果は健康にとても良いです。

血流が促進されると代謝が活発になる。温泉は浴後も保温力があるのでその効果は持続する。また、老廃物もデトックスされます。よく聞く話ではありますね。

水分の蒸発を防ぐバリアである、皮膚の表皮にも効果があるようで、検証の結果、肌の水分量も増加傾向を示しました。

入浴の際に気をつけねばならないことは、
長時間浸からないこと。石鹸、ボディーソープなどで洗いすぎないこと。
うるおいのある角質層を守る、水分の発散を防ぐ皮脂膜が流されると、皮膚は乾燥することになるからです。

私たちの体の皮脂と温泉成分で天然の石鹸が出来上がっているので、還元系の本物の温泉ではあえて体を洗い流さなくてもいい。
洗う必要がある場合は、いつもより軽く流す程度で十分。湯上り後、15分程度以内には保湿剤などを使用すると良いらしいです。

何故温泉は保温力が高いのかについて、説明がなかったので、複数のサイトを調べて見た結果、

肌に付着する温泉成分が、膜となって熱の発散を防ぐからのようです。
特に、塩化ナトリウムや炭酸ナトリウム、二酸化炭素が保温力を有するみたいです。食塩泉や重曹泉、炭酸泉の保温力が優れている理由ですね。

たまに入るだけでもいいの?

著書の中では、「入れば入るほど効果がある」という内容がありました。

じゃあ、たまに旅行に行くくらいで効果があるものなのでしょうか。

著書では、各地で行ってきた検査により、若年層ほど活性酸素代謝物が少なく、高齢者ほど多い傾向が説明されています。

また、若い人ほど健康状態が正常値に戻るのが早い。従って、若い人は年に2,3回の2泊3日のプチ湯治をすることで発症に至らないで済むとのこと。

「一回では効果がない」ということはないのでしょうが、
検証では、3泊4日でも一日に3,4回も入浴しているので、意識して温泉に入るようにしないと、あまり変わらないような印象です。

入浴剤の効果は?

お金もかかるし、近くに温泉がないとあんまり…
そんな庶民の味方、入浴剤!!!
著書では全く触れられていないところだったので、個人的に調べました。

温浴効果はあると思うので、意味がないという事はないと思いますが、「温泉ならではの抗酸化作用が入浴剤にあるのか」という視点で調べてみたいと思います。

もし入浴剤で充分なら、温泉に通わなくても、モーマンタイ!

まず、温泉と入浴剤の違いとしては、成分の濃さが違うことくらいみたいです。
成分が濃すぎると、浴槽を痛めてしまうことや、排水の影響が考えられるため、入浴剤は成分が薄いみたい。

また、温泉の素を選ぶ際のポイントとして、「医薬部外品かどうか」「追い炊きできるかどうか」の二点がポイントという話もありました。(引用:入浴剤.net

医薬部外品は、厚生労働省が承認した有効成分が一定濃度で配合されており、化粧品に分類されている入浴剤は肌を清潔に保つ目的であることが多いとのこと。

アルカリ性で、還元剤が多く含まれる温泉は美肌に効果があるという話だったので、医薬部外品の中でも、アルカリ性のものを選ぶと良いのかもしれません。
酸性の入浴剤もあり、こちらは角質除去などに有効なのですが、肌が弱い人には刺激が強いこともあり、避けたほうがいいような気がします。

「具体的に、どういった成分が何故、どこに効くのか」といった方向の話は、著書では触れられていなかったので、入浴剤を選ぶ上で、「これを選べばいい!」という指標はわかりません。

もちろん、入浴剤に使われている成分は、ほとんど効果があります。特に温熱効果に関しては。
でも、せっかくこの本を読んで、活性酸素について学んだので、その知識を活かすなら、「硫黄泉」または「アルカリ性」というのが大きな指標かな?と思います。
硫黄泉も、肌が弱い人には濃い可能性があるので、そちらは注意ですね。

まとめ。おわり!

『温泉はなぜ体にいいのか』では、
温泉は温熱効果の他に、抗酸化作用が優れているということが説明されていました。

ずっと気になっていた、温泉が体にいい理由がわかって、すっきりしました。
温浴効果以外の効果がちゃんとあることや、皮膚から成分が吸収されることのイメージ化がはっきりしたのが大きな収穫です。

「皮膚に触れるくらいで効果ある…?」と思っていた節もあったのですが、説明されると、「確かに浸透して全身にいくね!」と理解できました。

これで、より効き目を感じながら温泉に入れます!

うお~!さっそく温泉旅行の計画を立てるぜ!
いけいけいけ~~~!!!!!

ここまで読んでくださった方は、ありがとうございました!
目を休めてくださいね!








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