永井博本接写_v2

飛び降り in the Summer   ~バンジーとスカイダイビング~



その夏、おれは飛び降りたくて仕方が無かった。

落下したい…!

高い所から低い所へ、重力に引っ張られたい…!


…バンジージャンプと、スカイダイビングをやる事にした。



25歳の夏だった。

なぜそんな欲求に駆られたのか、解らない。

おれは気分屋なので、よくある事だ。



まず、バンジー。


東京・お台場のショッピングモールで、

無料でできるイベントが開催される事を知り、速攻で予約。

数少ない親友のKも、道連れにした。


会場はモールの中、つまり屋内であった。

7階建て位の建物の中に、吹き抜け広場がある。

建物の屋根まで吹き抜けている。

そこに、特設の飛び降り台が作られていた。

高さは確か、30m。

バンジー界では最も高低差の小さいクラス、らしい。


だが、充分であった。


本番1時間前に、下見がてら、

最上階の飛び降り台付近を訪れる。


やべぇ…

予想を遥かに超えてる…  怖い…


それから1時間、本番直前まで、

Kに対して ”いかに高くてびっくりしたか” を、延々と吠え続けた

あまりの緊張でテンションがおかしくなって、躁状態だったのだ。

いくら親友とは言え、迷惑この上ない。



あっという間におれの番が来る。


飛び降り台の先端に立つ直前から、

足が震えて止まらなくなった。

「あ… おれ、高所恐怖症かもしんね…」

初めて気が付いた。

(※いまだに自分では認めないようにしてる)


ワンツースリーのカウントダウンで飛んだんだけど…

バンジーの何が怖いのか、理解できたよ。


あれは「落ちる」のが怖いんじゃない。

高い所に立つ」のが怖いんだ。


一度飛び出しちゃえば、あとは落ちるだけ。

この落ちている最中は、全く怖くない


ジェットコースターに近い気がするんだけど…

スローモーションみたいに地面が近づいてくる。

「ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…」って、

風を切る低ーい音が聴こえてね。



一度下まで落ち切ってから、

びよーん、びよーんってゴムの伸縮に身を任せてる間は、

頭に血が逆流して、顔がパンパンになって、

ナチュラルハイになった。

下でマット敷いてたスタッフに救出された時、半笑いだったもんね。

「えへへ… w」みたいな。



あれは… 何回やっても怖いと思う。

まあ、1回やったからもう… 特にやる必要無いよ。

…つか、勘弁して下さい。 ぺこー



それから二週間位後だ、

スカイダイビングに行ったのは。


ネットで完全予約制。

埼玉県のどっか… 忘れた。


やると言ってもライセンスが無いので、

”タンデム”という、言わば「お試し」だ。

インストラクターが背中に張り付いて、全部やってくれる。

おれはただ、満喫するだけ。


結論、

35、000円したけど、その価値あったよ。


「人生感が変わる」とよく言うけど、

その言葉で表現できているのは、10%位だ。

実際にやってみたら、

「何も解ってなかったな」と、”解る” だろう。

それ位、特殊な体験だ。


落ちながら、泣いた。

というか、涙が勝手に出てきて、

感動する。

「感動」という言葉は、あの事を指す。


淡い水色の空の中、

突き上げる風圧と重力を感じながら、

どこまで行っても雲の海」へ落ちていく。

あれだけのスピードで、あれだけの距離を落下するという経験は、

他の事ではできない。

唯一無二なのだ。

だから、やる価値がある。


陳腐な言葉であえて説明するなら、

「この世界は素晴らしい。自分は何てちっぽけな存在なんだろう」

という事を体感・実感できる…

といった感じ。


ちなみに、

飛び降りる直前、乗っている飛行機がエンジンを切る。

「ぶぅぅぅぅん…」って。

この時、一瞬ふわっと無重力のようになり、

色々スースーする」。


男なら解るであろう。(女子も解るのだろうか…?)

ブランコとかで幼い頃、病みつきになる、あれだ。

スースーからの、激・感動。

なんてオススメなんだ、スカイダイビング!



結論、

バンジー、まぢ怖い。

スカイダイビング最高。



充実感のある夏だったなぁ…




~追記(2018/6/21)~


数日前、文中に登場する”親友のK”の誕生日だったので、

一年ぶりにメールした。


もう、10年位会っていない。

それを親友と呼ぶのか? 判らないが、

おれの中では、今も変わらず親友だ。


高3の時からだから… 24年の付き合いか。

子供は中2と小2だそうだ。

おれと違って、まっとうな、

まっとうすぎる人生を歩むK。


コミュ障全開で、クラスに1人も友達のいなかったおれに、

声をかけ、仲良くしてくれた恩は死ぬまで忘れないだろう。


メールの中で、このエッセイの事を伝えた。

バンジー楽しかったな、

足が震えた事もちゃんと書いたぜ、と。


意外な返信が来た。

「もう一度やれと言われたら、躊躇する」。


知らなかった。

Kが怖がっていたなんて。

当時、どう見てもKは落ち着いていた。

足が震えた様子も無かったし。

終わった後も、クールなものだった。


…そう、見えた、

見せていた、だけだった。

ちゃんと、怖かったらしい。


知らない事、あるもんだなぁ…






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