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未来のあなたがもう、後悔することのないように

「やっぱり社会人としての経験は必要だよね」

そんな言い訳じみた言葉を口のなかで転がして、あなたは自分の夢を押し殺したところだと思います。

小学生のころ、大好きな国語の音読の授業をきっかけに志した「声優」という大切な夢と、「声優という夢だけでは食べていけない」という現実。

その狭間で揺れ、親の反対を押し切る勇気も、不安定な生活を送る覚悟もないあなたは結局「会社員」という道を選びました。

何なら、「あきらめた」という事実さえ認めたくなくて、就職を喜ぶ親を前に、「これは自分で決めた道なんだ」とすら思い込もうとしていますよね。

でも、それは嘘です。

あなたは、間違いなく、夢をあきらめたんです。

今が1番若いのに、何ひとつ遅いことなんてないのに、それに気付くこともなく、淡々と日々の業務をこなしましたね。

生きる目的が見つからないまま、「仕事ができるねぇ」なんて言葉に、いっぱしの新卒らしく喜んで、「本当にいいの?」と心配する友だちに、「普通の会社員も悪くないね」なんて言葉を返したことでしょう。

そうこうしているうちに、大切なものも失って、どうして働いているのかもよくわからない会社のトイレで目を腫らした日もありました。

とうとう生きる意味を見出せなくなって、深夜の帰り道、歩道橋をぼんやりと見つめながら、「どうすれば楽に死ねるんだろう」なんて考えたこともあると思います。

「夢がないくらいで死にたいなんて大げさだ」と笑い飛ばされたこともあったけれど、そんなことはないよ。そのくらい、あなたにとってその夢は、意味のあるものだったんだから。

夢を叶えられない自分には、まったく価値がないと信じていたと思うし、それは今のわたしも変わらないからね。

悲しいけれど、あなたはその後も自分の夢をごまかしながら、しばらく歩くことになると思います。「どうせ無理だ」と決めつけて、言い訳をしながらしっかり会社員を全うしてしまうことでしょう。

でもね、そんな引っ込み思案で勇気がなくて、ひとりでこっそり「文字を書くこと」しか取り柄がなかったあなたは今、その「文字」のおかげでちょっとずつ歩き始めているんです。

帰り道の10分間だけで何の気なしに書いたnoteがたくさんの人に読まれて、あたたかい言葉をかけてもらえるようになるんだよ。

そこでもらった言葉たちにちょっとずつ背中を押されて、「文字を紡ぎながらなら、夢を叶えられるかもしれない」なんて思い込んで、会社を辞めてしまうんだよ。

明日からの生活、どうするんだろうね。

あなたにしてみれば、とんでもないことだよね。辛い就職活動を乗り越えて勝ち取った内定を、安定した素晴らしい生活を、自ら手放してしまうのだから。

わたしも、これからどうなるのか、不安で不安でたまりません。

でも、どうせあなたは、何度だって後悔するんだ。

自分が夢をあきらめてしまったこと、無意識のうちにオーディションの情報を調べてしまうこと、家で本をこっそり声に出して読んでしまうこと。

だからね、わたしは未来のあなたがもう後悔をしないように、ここで舵を切っておきます。だって、今日が1番若いから。

ごめんなさいだけど、失敗をしてしまうかもしれません。でも、あなたが今まで頑張ってくれたおかげで、そこそこガッツがついたと思うから、きっと大丈夫だと信じています。

夢をあきらめたこと、しんどかったよね。でも、夢をあきらめて社会人をやってみたことも、今はすごく糧になっているし、そのおかげで歩き出せることができた。

だから、今はしんどいと思うし、今から夢に挑戦することは、きっと今のあなたにはできないと思います。安定志向で引っ込み思案なあなたに、そんな無茶なことは言いません。

その代わり、文字だけはずっと書き続けてほしい。

いつか、ちゃんと誰かに見つけてもらえるから。

それが、夢を叶える糸口になるから。


がんばれ、社会人1年目の私。


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