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うまくしゃべれるようになりますように

「うまくしゃべれるようになりますように」

青森県の十和田現代美術館のなかにある展示物のひとつ、「念願の木」にそんな願いが書かれている短冊がぶら下がっていた。

そういえばわたしもそういうふうに願っていた時期があったな。

「うまくしゃべる」というのは難しい。相手の話を聞いて相槌を打っているのはいいけれど、いざ自分のターンになると頭が真っ白になってしまう。

その根底には、「自分の話なんておもしろくないし」という自信のなさがある。誰にも聞いてほしくないのである。こんなつまんない話を。

相手の目線がチラッと揺れるだけでも、「あっ、ヤバい、退屈してるかも!」と心配してしまうほどに自信がないので、隣に並んで話すときは、もはや相手の顔を見ていない。前を向いて話している。

思考からワンテンポ遅れて言葉が出てくるので、タイムラグが発生する、というのもある。

わたしもうまくしゃべりたかった。

でも、最近では一周まわって、「別にうまくしゃべれなくてよくね?」という気持ちになってきている。

「なんかうまく言えないんだけどさ」と前置きしておくとか。

いっぺんには言えなくても、言葉足らずなところをあとで補足しておくとか。

テキストコミュニケーションで挽回するとか。いくらでもやりようはあるんじゃないかと思うのだ。

そりゃ、わたしだってうまくしゃべってドッカンドッカン笑いが起こせたら嬉しいけど、考えただけで絶対に無理だからさ。

そうやってうまくしゃべることを諦めて、吹っ切って、言いたいことだけをつらつらっと言うようになったらラクになってきた。

登壇をするときも、Voicyを収録するときも、特に台本はないので、「えー、なんだろね」とか「よくわかんないけど」とか思わず言ってしまう。うまくしゃべれない。淀みまくりである。

あまりに薄っぺらい言葉しか出てこなくてびっくりしちゃうこともある。支離滅裂すぎて伝わってなさそうなこともある。

でも、つっかえつっかえの言葉にも想いは宿るんじゃないかと思いたい。うまくしゃべらないと決める。しゃべるだけえらい。

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