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英語が絶望的な帰国子女に英語の仕事が来てしまった結果

「基本的には日本語でOKだけど、カタコトしか喋れない人もいるので英語も話せるインタビュアーが良い」

…というわけで全然英語の話せないわたしに白羽の矢が立ってしまった。

というのも、このにっくき「帰国子女」という肩書きのせいである。

公式プロフィールだと高校までのことは伏せて大学からの経歴しか載せていないが、自分のことを語るときにどうしても欠かせないので、たびたび「中高生はアメリカで過ごした」と発信している。

黒歴史は黒歴史でも、中高の4年間も過ごせばアイデンティティになっちゃうもんだからしゃーない。

ただ、アメリカ生活について語るときはどちらかというとネガティブ寄りな発信だ。だってわたしは、ずっとずっと日本に帰りたかったんだもの!!!

かくして「親の仕事の都合で中2と言う大事な時期に友達と引き裂かれ嫌々アメリカに連れてこられたかわいそうなぼっちアニメヲタク」を4年間見事に演じ切ったわたしは、情けないことに英語がまったく喋れなかった。

単位のために頑張って授業には出席するけど、数学がギリギリ。ESLクラスはセーフ。体育とアートは得意。つねに戯れる相手は日本人。そんな感じの4年間だった。もー英語とか異文化交流とかどうでもいいからさっさと帰ってアニメが観たかったもんで……。

今考えると盛大な機会損失だが、当時のわたしにとって何より大事なものはアニメと漫画だった。

そんなもんだから、「帰国子女設定」はいつもギリギリまで言わないようにしている。

「高校どこ?」「どこ住んでたの?」みたいな話にならないと口を割らない。だって、住んでいたら喋れるもんだと思われちゃうじゃん!!!

そんな「使えねー帰国子女」なわたしは大学でも社会に出てからも1ミリも英語を話さなかったし、話す機会もまったくなかった。

それが、ここに来て初めて英語関連の仕事が降ってきたもんだから「クッ…こんなに喋れないアピールをしてるのにまさか仕事が来るとはァ…」と頭を抱えた。

とりあえずインタビュー前に「依頼をお受けいただきありがとうございます」的な英語だけでも調べとくか…と「Thankyou for accepting the offer」だけ調べてみた。そもそもオファーしたのはわたしではないので確実に使わないんだけど。

たった数日で英語力を身につけられるわけがなく、「やべぇな」という気持ちで当日を迎えることとなった。


そんなわたしにミラクルが起きた。

…むむ、き、聞き取れる…

相手が何を言ってるのか普通にわかるぞ!?


そう。なぜかわからないけど相手の言っていることがほぼほぼ理解できたのである!!!

わたしに合わせてスーパーイージーイングリッシュで喋ってくれたのか。それとも久しぶりに英語を聞いて何かに目覚めたのか。とにかく、わたしは取材冒頭で一気に「英語できるモード」になったのである!!

なんか知らんけど無意識に相槌が勝手に「アーハン」「ンーフン」になるし、リアクションが「オウマイガッ」「リアリー⁉︎」になる。

なんだ、何が起こってるんだ。わたしのなかの内なるアメリカンが目覚めたんか???

そんなこんなでルー大柴ばりにインタビューをおえて、ひとしきり考えてたどり着いた結論がある。

たぶん、自分が思っているよりも、中高生のころの自分は英語ができていたのだ。

ただ、あのころはまわりにスーパージャパニーズキッズが多すぎて、「自分マジでまわりの帰国子女とは比べものにならないくらい英語できないじゃん」と自信をなくしていったし、単語力もないので映画も字幕なしでは観られず、イージーな英語しかわからなかった。

でも、ここは日本なのである。

日本でなら、ちょっとはできる部類に入るのかも…⁉︎

その事実に気付いた。

よく「英語話せる?」と聞かれるたびに、「話せるってどのレベルなん?」と思って「ちょっとしか話せません」と答えていたけど、日本でなら「多少は話せるレベル」に到達してるのかもしれない。知らんけど。

何はともあれ、今日のチャレンジングな仕事のおかげで、こじらせ帰国子女がほんのちょっぴりだけ自信をつけられた気がする。

あと、久しぶりに英語を話してみたら、アメリカンなリアクションたちも勝手に顔を覗かせてきてウケた。

英語は今でも別に好きじゃないし、本業にするつもりはないんだけど、こういうピンチのときのために、もうちょいだけやり直すか……と思えた1日でした。

the end

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