趣味日記:映画クレヨンしんちゃん勝手にランク付け その2

前回の記事「映画クレヨンしんちゃん勝手にランク付け その1」の続きです。

前回紹介した1~10作目は本郷監督と原監督による黄金期でした。しかし、ここからは暗黒期へと突入します。
今回もS~E表記で勝手にランク付けします。Sは最高におもしろかった作品で、Eが時間の無駄レベルの作品です。
それでは、早速いってみましょう。

映画クレヨンしんちゃん暗黒期(11~20作目)

11.栄光のヤキニクロード:C

水島努監督作(2003年)。
笑いに振り切った作品。とにかく家族で熱海を目指すという話。作画は荒く、全体の脚本はまとまりを欠いている。特にラスボスが小物過ぎるので盛り上がらなかった。全体としては普通か普通以下といったところ。
ただし、ひろしのゲッチューヒッチハイクとか、マサオの裏切りとか、印象的で笑える場面は確かにある。前作、前々作がかなり感動系に寄っちゃったけれど、本来しんちゃんはこのようなギャグ多めのおバカ作品で良いのかもしれない。

12.夕陽のカスカベボーイズ:C

水島努監督作(2004年)。
鬼ごっこ中に迷い込んだ古い映画館。無人で動く映写機。映し出された荒野を眺めるとその作品のなかに取り込まれ、映画の登場人物の一人となってしまう、神隠し的ファンタジー作品。
作画は妙にリアル志向で暴力的な表現が多いのが特徴的だ。リンチ、引き回し、むち打ちなどの表現が目立つ。
ややシリアスで、映画に取り込まれた人たちは記憶をだんだん失っていく設定もある。しんちゃんの恋や失恋を描いたり、ラストカットが無性に切なく描かれるなど、異色の作品とも言える。尖ってるので好きな人には刺さる作品かもしれないが、私は微妙だった。

13.3分ポッキリ大進撃:E

ムトウユージ監督作(2005年)。
この記事を書いている時点でシリーズ歴代最低最悪の作品。興味本位でしか見る価値は無い作品と言える。
野原家の掛け軸の裏から突如現れたミライマンの依頼で別時空の地球を野原一家が特殊能力を使って救うという話。何回か怪獣がやってくるのを野原一家が変身して倒すだけ。中身のないシュークリームのような作品でスッカスカである。製作者サイドは本当にこの出来で観客を楽しませられると思って世に出したのか聞いてみたい。

14.踊れ!アミーゴ:E

ムトウユージ監督作(2006年)。
こちらは歴代最恐作。ガチのホラー。どんどんキャラクターがドッペルゲンガーに入れ替わっていくのが怖いし、とくに風間君のママのシーンはトラウマレベルで、子どもには見せられないと思う人もいるかもしれない。であれば、これは一体誰に向けた作品なのか。
ドッペルゲンガーを倒す手段を得てからの疾走感はクレしんらしさはある。ただし、終盤のダンスバトルも冗長であったし、そもそもなんでホラーとサンバを結び付けたのかも意味が分からなかった。

15.歌うケツだけ爆弾:C

ムトウユージ監督作(2007年)。
歴代初のシロをフィーチャーした作品。ケツだけ星人の地球を破壊するほどの威力を持った不発弾がシロの尻にくっついてしまい、シロをめぐって野原一家、UNTI、ひなげし歌劇団が争うというもの。
しんのすけとシロの孤独な逃避行は切なく、中盤まではまとまっているが、後半かなりグダグダになってしまうのが残念だ。作画も粗い。でも「ぐでぐでグッデイ」という作中歌はなかなかの良曲である。
「シロも家族!とーちゃんがいて、かーちゃんがいて、オラがいて、ひまがいて、シロがいて、シロはオラんちの家族!野原シロなんだ!」byしんのすけ

16.金矛の勇者:E

本郷みつる監督作(2008年)
ムトウ監督でかなり低クオリティな作品が続いてしまったため、初代の本郷監督を呼び戻して原点回帰を図った作品。確かにキャラデザや美術はヘンダーランドっぽさも感じられた。ドンクラーイ世界という異世界の内紛にしんのすけが巻き込まれ、孤独に戦っていく話。しんちゃんは「変じる」という能力で変身して戦うが、これもスゲーナスゴイデスのカードの二番煎じである。そしてトッペマに代わるマタといったところ。とにかくヘンダーランドの栄光をなぞりにいった作品ではあるのだが、セリフや演出にセンスが感じられない。しんちゃんがずっと一人で戦うので家族愛も友情も描けなかったのもクレしん映画としてどうだろうか。せめてマタのキャラクターを掘り下げてくれたらよかったが、それも無かった。
「家族だから幸せなんじゃない!野原家だから幸せなんだ!」byヒロシ

17.オタケベ!野生王国:E

しぎのあきら監督作(2009年)。
エコ×母の愛情がテーマ。しんのすけが拾ったドリンクを飲んだひろしとみさえが動物化してしまい、SKBEという組織から狙われるという展開。ギャグも少なく、テンポ、演出が全体的に悪い。音楽もひどい。良いのはゲストキャラのビッキーがかわいいくらい。しんのすけの尻でみさえの記憶が戻るところが見せ場。みさえに焦点を当てるという意味では珍しい作品ではある。ラストもただの夫婦喧嘩が事件の原因だと分かるうえに心変わりも突然で肩透かしをくらった。
「人生の半分はトラブルよ!後の半分はそれを乗り越えるためにあるの!」byビッキー

18.オラの花嫁:C

しぎのあきら監督作(2010年)。
タイムパラドクスもの。初めて未来を描いた作品。
おなじみのレギュラーキャラの年を取った姿が見られるので、それは単純に楽しい。本作の未来は天変地異後で、かなりの格差社会が敷かれているという設定で、なんとしんちゃんの嫁すら出てくるという挑戦作。
大人マサオはコンビニで悪たれ、大人ねねは幼稚園のやさぐれ先生、大人ぼーちゃんは発明家、大人風間君は大企業の重役と、かなり明暗分かれている。未来でもひろしとみさえが普遍的な親で、その優しさには胸を打たれた。
前半はあのキャラはどうなってるんだろうと興味をそそられるが、後半は少し間延びした感じを受けた。ラストもご都合主義。しんちゃんが純愛寄りになっているのも違和感がある。ギャグも少なめだけど、全体的にはよくまとまってるように思う。

19.黄金のスパイ大作戦:B

増井壮一監督作(2011年)。
なんと屁だけで一本の映画にしてしまうとんでもなくくだらない作品。でもこれで良い。これがクレヨンしんちゃん的である。
へーデルナ王国とスカシペシタン共和国との争いに巻き込まれる野原一家を描く。ゲストキャラのレモンちゃんがかわいいし、レモンちゃん一家と野原一家の対比が効いてた。題材はくだらないが、レモンちゃんの背景が重く、しんのすけとレモンちゃんの成長や友情に焦点が当てられている。レモンちゃんと別れるラストカットも素敵だった。
人体実験シーンはえぐかった。暗黒期の10年のなかでは最も輝いた作品。

20.オラと宇宙のプリンセス:D

増井壮一監督作(2012年)。
記念すべき20作目で、かなり壮大な作品。ひまわりをフィーチャーし、地球の兄弟星であるひまわり星の姫にひまわりが即位しなければ地球もひまわり星も衰退するというSF回。
大臣の歌による状況解説は楽しかった。しかし、今回の敵は世界滅亡から救うために他に手段がなかったというだけで、悪人というわけではないので、なんか締まらない感じがした。
家族愛成分は割と盛り込まれているのは良いが、とにかくスケールをでかくしすぎて、最後全然まとめきれなかったという感じだった。あまりにもご都合主義過ぎた。


さて、今回は私が勝手に暗黒期と呼んでいる10作品について紹介しました。C以下の作品がほとんどで、酷評ばかりですみません。でもこの時期は本当ひどい10年だったなと思います。
うーん、水島監督とかはそこそこよかったんだけど、こうして見るとムトウ監督作がかなり良くなかった。原点回帰の本郷監督も全く振るわず、その後も2年毎に監督を変えながらもがいてる感じはしたけど、持ち直すまではできなかったという所でしょうか。
初期の10年が良すぎたのもありますが、ここまで低調な感じで推移するのはファンとしてとても残念でした。

次回はいつ書けるかわかりませんが、いつか書きます。それでは。


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