ごはんさんが退院した
4月2日(火)
2度目のアラームで目が覚めた。
今日はごはんさんが退院する日。迎えに行くことにしている。むくりと起きあがる。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
カカオにご飯をあげる。
ウーちゃんとルーちゃんにエサをあげる。
修一郎の食事を用意しておく。
先々週の土曜日、辛そうな ごはんさんを病院に乗せて行ったときは本当に心配した。第一連絡先になっている私のところに、いつ電話がかかってきてもいいようにiPhoneを枕の下に敷いて眠っていた。
予定より早く退院できることになって本当にうれしい。よかった。
ささっと支度をして病院へ しゅっぱーつ!
到着。
いちばん上の病棟の受付で看護師さんと話しながら受付票を書いていた。あと少しで書き終わりそうなとき、溌剌とした ごはんさんが荷物を持ってやってきた。
「あ、受付票いらなくなっちゃいましたね〜。」と、看護師さんと笑う。
すごい回復力だなぁ。と、改めて思う。
いろいろ用事を済ませ、家に帰るべく しゅっぱーつ!
入院している間にする必要のあった用事を今日済ませると言う。退院したばかりだから今日くらいゆっくりしたほうがいいような気がするのだが、明日からお仕事に戻るということ。
今週いっぱいくらいお仕事を休むといいのに。と思う。ごはんさんはものすごく真面目なのだ。
元気そうに見えても退院したばかりなので、私も付き添うことにする。
ひとつずつ用事を片付けてゆく。ぐんぐんこなしてゆく。
すごい行動力だ。すごい回復力だ。今朝退院したばかりとは思えない。
かなりの距離を運転している。
半分くらい用事が済んだとき、ごはんさんが山つきのとびきり美味しいお米を買いに連れて行ってくれた。うれしい。道中、桜が見事だった。山桜、枝垂れ桜、いろいろな桜が咲き誇っていた。
「みるさん、見て。あの桜。すごい濃いピンク色。あっちは真っ白に近いよ。」と、ごはんさん。キョロキョロする私。
「いろんな桜があるねぇ。」と、感激しながら進む。
お米を販売してくれる農家さんのお家に到着。猫たちが出迎えてくれる。10kg分けてもらった。ごはんさんが片手で持って車に運んでくれた。今朝まで入院していたとは思えない。
そのあと、昨日、私ひとりで道に迷いすぎて辿り着けなかった、何キロも続く枝垂れ桜の道を走ってくれることになった。わくわくする。
それは、本当に素晴らしかった。
長く続くダムの池に沿って、濃いピンク色の枝垂れ桜が続いている。満開だ。ピンクの空気の中を走っているみたい。池の向こうは山。山と池と桜が調和してなんともいえず美しかった。幻想的で、おとぎ話の中に入り込んだようで、桃源郷のようだった。胸がふるえた。
「きれい!きれい!」と、今日も30回くらい叫んだ。ごはんさんが苦笑いしている。うるさかったのだろう。
風に桜の花びらが舞う。
「桜吹雪だ!」と、ふたりで何度も叫ぶ。
あまりの美しい光景に写真を撮ることをすっかり忘れていた。というより、写真を撮るのも勿体無かったのだ。瞬きするのも勿体無いくらい。それほどずっと見ていたかった。しっかりと瞳に焼きつけたかった。深く深く心に染み込ませたかった。
山桜も、池も、枝垂れ桜も、ぜんぶきれいなのでどれを見ていいか分からないほどだった。
こんなに素晴らしい桜を見れて幸せだ。ありがとう。風に舞う桜を見ていて、あることを思いだす。胸が きゅうっとなった。
枝垂れ桜の道が終わり ”こもれびの森” へ。
そのあともいくつか用事を済ませる。退院してから夕方までに 7つも用事を済ませた。どれだけタフなんだろう。お買い物をして帰る。
疲れているんじゃないだろうかと心配したけれど、元気そうだったので ほっとする。
家に帰ると、ぽつぽつ雨が降ってきた。
修一郎が起きていた。
「ごはんさん元気になってたよ。」と言うと、「よかったなぁ。」と言った。
遠賀信用金庫さんとお仕事のやりとりをする。今年の卓上カレンダーと今期の新しいイラストについて。今週の金曜日に打ち合わせにみえることになった。
昨日、大分県の会社からお仕事の依頼が来ていた。ありがたいお話だったけれど、いろいろな事情でお断りすることにした。
夜、庭に出る。
雨がジャブジャブ降っている。手を伸ばす。雨粒が手にあたって きもちがいい。雨って本当に不思議だ。明日になればクローバーたちがますます元気になっているんだろう。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。
カカオは雨の中出かけている。
今日もいい一日だった。
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