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デザイナー組織化を目指した、小さな一歩と大きなゴール

事業会社では共感してもらいやすい悩みかもしれませんが、私たちRettyではインハウスデザイナーが複数人在籍しているけれどチームとして力を発揮できる場面がなく、単独行動の集まりのまま……という状態がしばらく続いてきました。
そこから約1年かけてじっくりと、少しづつ話し合い取り組み続けて、今ようやくRettyデザイナー組織としての土台ができてきました。
今回はその取り組みについて書いてみたいと思います。

🎄この記事はRetty Advent Calendar 2023に参加しています🎄

デザイナーが増えたのは良いけれど…

Rettyでは現在5人のデザイナーが稼働しています。5人全員が集まるプロジェクトは無く、それぞれ別のミッションにアサインされる体制で日々仕事をしています。

この体制には各ミッションに集中できるメリットがある反面、どうしてもデザイナー同士横の連携は薄くなります。またそれによって、

  1. 社歴&経験した内容が人によって異なるのでスキルギャップが生まれる

  2. ギャップがある中で、どう連携できるのかイメージがなくスキル・ナレッジが個人に依存していく

  3. その結果、相談やほか部署からの連携が特定のデザイナーに集中する
    → 1 のギャップがさらに大きくなる

…といった状態が定着するように。
上記のようなサイクルが回ってしまうと、デザイナー個人のキャリア・スキルアップがしにくくなってしまうのはもちろん、会社の中でもデザイナーが関与できる範囲がどんどん狭くなるなど、長期的にはデザイナー・組織両者にとってデメリットが生じてしまいます。

そこで、デザイナーだけでなくプロダクト部門長をも巻き込んで定期的なディスカッションを開始。とにかく課題を洗い出しながら、大きく2つの視点でアクションを行ってきました。

1.デザイナー同士のつながりを作る場の設定

場作りについて週次ミーティングとナレッジシェアの場の設定を行いました。
これらは一見当たり前のアクションですが、ただ実施するだけでなく細かい工夫によって場の雰囲気やメンバーの目的意識に変化を起こせたことがいくつかありました。

①週次ミーティングで一人ひとりの目線を合わせる

以前のミーティング
・イベント名:デザイナーよもやま会
・司会者:リードデザイナー
・毎週30分、デザイナー全員参加

組織化にむけて動く以前から週次ミーティングは実施していました。
ですが、メンバー間で話すテーマが挙がらない・会話に参加するメンバーが固定的……など、あまりメンバー同士が連携する場として活用できていない状況でした。
そこで、部門長にアイデアをもらって本当にちょっとした工夫をしてみることに。

変更後
・イベント名:デザインディスカッション
・司会者:毎週異なるデザイナー(司会が次回司会を指名する)
・毎週30分、デザイナー全員参加 ※変更なし

毎週30分・全員参加という基本はそのまま、名前と司会を変えただけ……という一見細かすぎる工夫なのですが、ちゃんとこの変更後にメンバーの発言量が徐々に増えていったり、持ち込まれる議題のバリエーションが増えたりと、全体の雰囲気にポジティブな変化がありました。
実際参加する私自身も、業務中で何か困ったことがあったときに「これはデザイナーみんなで話し合ってみよう」など、意欲的に考える機会が増えたように思います。

②ペアデザインとクオーター末の勉強会でのナレッジシェア

ペアデザイン
・週1回実施(カレンダーに設定済み)
・2人1組で30分
・互いの仕事についてFBをしあう

デザイン勉強会
・四半期に1回実施
・一人30分(発表15分:質問15分)
・デザイナー同士の質疑応答メイン(他職種も任意で参加可能)

勉強会は1人30分ほど時間を持ってじっくりとデザインプロセスを公開する時間で、クオーター毎に1回のペースで実施しています。

普段はスピード重視で行うことが多い施策について、デザインプロセスを見直す機会として設定しています。
一人の持ち時間をしっかり用意しているため、発表の準備をすると自然とポートフォリオにまとめられるようなボリュームになります。

任意参加でプランナーなど他職種も参加可能ですが、基本的にはデザイナー同士の質疑応答をメインにしています。これによってデザイナーが内容を噛み砕いて説明しようとすることが減り、集中して話せる良い緊張感を持つことにつながりました。

💡 場づくりには細かい仕組みがとても大切

ここで学んだのは、こういった場作りには細かい設定が実はとても大切だということ。
週次ディスカッションの場ならメンバーの主体性に依存しない仕組み、学びの場には短期・長期で積み重ねていける仕組みをそれぞれ細かい点まで作っていくことで、初めて場を有意義に活用できるようになりました。

2.組織化のゴールイメージを持つ

デザイナー組織のゴールをどう設定したらいいのかを考える上で、とても参考になった海外記事がありました。

書かれていることをざっくりまとめると「デザイン組織のレベルを、コミュニケーション対象とアウトカムで測る」という内容で、ここでは5つの組織レベルが提示されています。

以下、記事から抜粋した図 ↓↓↓

画像すべて「Partnerships, Not Pixels, Are the Key to Great Design Teams―Aarron Walter」より


レベル1はデザイナーのコミュニケーション対象がUIなど直接的なプロダクトデザインのみ。レベルが上がるほど、コミュニケーション対象が会社全体・経営を巻き込むようになって大きな経済的アウトカムを生む。
2019年と少し前の記事ですが、なぜデザイナー同士の連携が必要なのか?なぜ難しいのか?という点についても丁寧に記載されているので、ぜひ読んでみてください!

🤔 で、これからどこを目指すのか

Rettyの今の状況に置き換えてみると、このレベルマップの”レベル2プロデューサーズ”がまずは無理なく目指せるレベルだと判断できそうです。
また、この記事では「レベル」と各段階が表現されていますが、企業のフェーズや体質にあわせて都度最適な状態を選択していくのも良さそうです。

一番大事なのは、ただ「デザインレベルを上げる」よりも「どれだけデザイン手段をつかってより広範囲に良い物事を起こしていくか」なはず。
デザイナー以外のメンバーも巻き込んで、このレベルマップを見ながら皆でデザインへの期待を語り合う。
そんな関係性を作れることが私のいちばんの目標なのかもしれません。

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