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『Delueze and the Diagram』 by Jakub Zdebik

2023年後半は、Jakub Zdebik "Delueze and the Diagram" (Bloomsbury, 2013)という本と格闘していた。ドゥルーズのテクストにはしばしば〈ダイアグラム〉という語が出てくるが、いったいこれはどういう意味を持つのか、というモノグラフである。Zdebikはオタワ大学で美術史と批評を教えているらしい。https://uniweb.uottawa.ca/members/2814 我々はなぜ図解するのか、を調べていくと、やがてダイアグ

    • 概念ダイヤグラムはセオリーピクチャーか?

      科学的で合理的な論述に添えられる図やダイヤグラムは一体どのような機能を持っているのか?物理学や力学の実験を描写するようなダイヤグラムの場合は、現実のモノの形状や大きさを類像的に描画することが(少なくとも一つの)重要な役割である。滑車の実験を表すダイヤグラムで、滑車を四角形で描画することは類像的な描写としては正しくないし、そもそもそのような間違った描画によるダイヤグラムは、力学現象を説明する上で役に立たない。 しかし概念ダイヤグラムの場合はどうか?ここで「概念ダイヤグラム」と

      • チャートジャンク論争

        何故我々は図解するのだろうか?言葉や文章ではなく、視覚的なイメージで何かを説明しようとするのは何故なのか?「視覚イメージは、言葉よりも直観的で分かりやすいから」と言われるが、そのような主張はあまり説得的ではない。自分の思考や記述を他人がわかるように視覚化することは決して容易ではないことは、『正しい図解のコツ』というような記事や本が世の中に溢れかえっていることからも明らかなのだ。特に近年、データビジュアライゼーションやインフォグラフィックスが、収集したデータや情報を「分かりやす

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