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わたしのこと

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わたし、を見せるのが一番苦手な私。少しずつ、ぽつぽつと、語っていこう。リハビリみたいな気持ちで。
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2019年6月の記事一覧

ここにしかない、つながり

noteという世界に足を踏み入れた。 それまでも、いろんな居場所はあった。 活字中毒だったかつての私は、大人になってどこへでも自分の足で出かけられるようになったからか、いつのまにか本を必要としなくなり、自分の目で見て、手で触って、確かめられるものしか信じなくなった。あの頃、とてつもなくまぶしく輝いてみえた本が連れて行ってくれる世界より、現実として自分の手でつかめるものに夢中になった。 そうやってたくさんのものを手に入れた私のもとへ、ある日こどもがやってきた。それから、私

あなたの産まれてきた理由はなんですか?

ああ、旅に出たいな。 と思った時、行き先をみんなどうやって決めているのだろう。 私にとって旅先を決める基準となるのは、そこに行くとどんな景色が見られるかということと、ここのコレ食べてみたい!という、本能に突き動かされるような衝動だ。 いつ死ぬかもしれない今世で、どうしてもこの瞳で見ておきたい景色や、自分の舌で味わってみたい食べ物のために、いろんなものを犠牲にしてでも飛んで行きたい!と思う場所が見つかったら、それはもう行くしかないのだと思う。 ーーーーー その昔、女友

カップの向こうに

落ち着きがないことに定評がある私でも、本と珈琲、それから座り心地の良いソファーがあれば、たぶん同じ場所に何時間でもいられる。 幼い頃からとにかく本が好きだった。 学校から帰ったら図書館に行って17時のチャイムがなるまで本を読みあさり、一度に借りられる上限まで本を自転車の前カゴに詰め込んでは家路を急いだ。 どんなに分厚い本を何冊も借りてきても、3日もすればすべて読み終わってしまう。学校の図書室で使う図書カードはすぐにいっぱいになり、最寄りの古びた図書館の児童書コーナーはし

最期の晩餐

「もし今日で世界が終わるとしたら、最後に何を食べたい?」 会話のとっかかり的にこの手の質問をするヤツは、つまらない人間だなと思う。 私は自他ともに認める、筋金入りの食いしん坊だ。 一週間の献立を考えて買い出しに行くとか、つくりおきの常備菜で食卓を整えるということが全然できない。お腹が空いたタイミングで、ああ、いまこれが食べたい!と感じるものを身体に取り込みたいのだ。一週間どころか、数時間先の自分の気持ちさえつかめないのに、あらかじめメニューを決めておくなんて到底無理な話

オバサンのイヤイヤ期

こどもというのは、とかく騒々しいものだ。 自分に娘ができてはじめて、こどもってなんてうるさくって激しくって、熱量の大きないきものなんだろうと、心底驚かされた。 感情の振り幅がとてつもなく広く、気分がジェットコースターのようにめまぐるしく変化する彼女は、毎日朝から晩まで全力で生ききって、死んだように眠りにつく。 なんてダイナミックな人生を生きているんだろう。 私はかつてこんなに一日を全力で生きたことがあるだろうか。 でもきっと、みんな自分のことは棚に上げて、すっかり大