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わたしのこと

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わたし、を見せるのが一番苦手な私。少しずつ、ぽつぽつと、語っていこう。リハビリみたいな気持ちで。
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#ノンフィクション

ほろにがパインと袋ラーメンの日曜

文脈メシ、皆さんの作品を楽しく読ませてもらっています。 ほのぼの家族やドキドキ恋のエピソード、そういうのが多くって思わず顔がほころびますね。 そんなふんわりした流れをぶったぎって、休日の穏やかなnote池にドボンと石を投げちゃいます。ごめんなさいね。 ◆◆◆◆ 月曜日の4時間目、『はばたき』と鳥の絵が大きく描かれた、赤い表紙の文集が配られた。 「皆さん、文集はそれぞれ手元に渡りましたか?これから、自分の書いたものをひとりずつ読んでもらいます。」 作文が得意だったわ

ごめんね、なにもできなかった

たった今、乗り合わせた電車の中で、心が痛くなる出来事があった。 ほんとに今のいま、だからまとまらないし、私はどうしたいのかも分からない。 ただ、これを忘れないように書き留めておきたい。 ーーーーー 大きな駅のターミナルで、私が乗ろうとした電車は4分遅れ、と掲示板に流れていた。 ざわついたホームに降りたら、何度も流れるアナウンス。 あまり気にも留めていなかったのでそれが何の影響かは聞き取れなかったが、とにかく予定よりも少し遅れて入ってきた快速。 ドアが開いて、ひと

被災者なんだ!って、言っていいんだよ

※投げ銭方式の有料記事にしています。当初は全文公開していましたが、購入いただいた方だけが読めるよう、最後に震災の時の実話を追記しました。悲惨な現実の中にも、淡い希望を抱けるような、こぼれ話になっていれば幸いです。 追記: 被災地に住む友人と連絡が取れました!電気が9/12夜にようやく復旧したそうです。屋根は応急措置ができたらしく、いまは自宅で過ごせているようなので、ひと安心しています。 たくさんの方々からサポートをいただいています。本当にありがとうございます!! いただ

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9月1日まであと20分

10代まであと少し、の娘がいる。 宿題がなによりも嫌いで、学校に行きたくないと、よくつぶやいている。 「しなきゃいいし、行かなくていい。」と言ったら、決まって「だからー、そういうわけにいかないんだよ!」と怒られる。 ーーーーー 私の10代はめちゃくちゃだった。前半はまだ、優等生だったように思う。 たぶん宿題も適当に終わらせていたし、新学期を迎えることになんの抵抗も、なかった。 中学に入ってから、家庭環境が終わっていたので、学校にまで気が回らなくなった。 宿題をや

はれのちくもり、ときどき発熱

うちは、変わっている。 少なくとも『一般的な』家庭ではないことは確かだ。 世間ではこれを単身赴任と呼ぶのかもしれないが、我が家は『別居家族』という形を取っている。夫は仕事の都合上便利なところに単独で、私は娘と2人で、それぞれに拠点を持ち普段は別々に生活している。 結婚前の一人暮らしが長かったこともあり、別居にあたって夫の食事や身の回りの世話を心配したことはないし、出張が多く多忙な彼がどこにいるのかさえあまり把握していないのでよく驚かれる。 そんな夫はたまにこちらの家に

しあわせの香り

近頃、娘がとてつもなくかわいい。 というだけの、おもしろくもなんともない、お話。 ーーーーー うちの娘はわりと早い段階からおしゃべりで、歩くより先にペラペラといろんなことをしゃべっていた。 私もそうだったらしいし、うちの母もほっといてもひとりでしゃべっているタイプだから、これはきっと母方の遺伝だろう。 身体が小柄で運動能力は同級生に比べると低いのに、口だけは立派に一人前で、しかも内弁慶だった娘は、幼い頃はとにかく可愛げがなかった。 少なくとも私にとっては。 イヤ

あの日、ふいに扉が開いた

昔からどんなに仲の良い友達にも、自分の気持ちをそのまんまに、心をひらいて話す、ということが苦手だった。 ヒトミは秘密主義だよね、っていつも、言われた。 人に話すとすべてが終わりになる、という脅迫観念みたいなものが、ぬぐえなかった。 いったい、なにが? 分からない。でもこわい。すべてを見せることは、できない。 私がnoteを始めたきっかけは、ここで定期的に投稿されている、ある好きなひとの文章を読みたい、ただそれだけだった。アカウントはとったけど、見るだけ。 note