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心の声あげて、叫べ!

いつからだろう。ディズニープリンセスがこんなに市民権を得だしたのは。

少なくとも私が生まれた昭和の時代には、ディズニーといえばミッキーとミニーがメインで、プリンセスたちにあんなにスポットライトが当たることはなかった。平成に入ってから様々な作品が公開され、ネズミやリスや犬などの動物たちだけでなく、生身の女の子のキャラクターがどんどん人気になっていったような気がする。

幼い頃から現実主義者だった私は、突然やってきたプリンセスブームに全く共感できるところがなく、しかも「あんなのこどもが観るもの」というバリバリの偏見を持っていたため、ディズニー映画に一切興味がなかった。

娘が生まれるまでは。

女の子だからといってみんながプリンセスに憧れる訳ではないけれど、うちの娘は物心ついてからというもの、誰に似たのか妙な女子力の高さを発揮していた。幼い頃からDVDを観ながら車で移動することが多かった我が家のオーディオラックには、娘のリクエストによりプリンセスの物語がどんどん増えていった。

小学生になってますます女子力に磨きがかかった彼女は、映画鑑賞という新しい趣味を見つけた。どこから聞きつけてくるのか、ディズニー映画が公開されるという情報をいち早く手に入れてきては、一緒に観に行く人(グッズなどを買ってくれやすい祖父が主なターゲット)を募り、早々に予約するのが毎回の流れだ。

今回、アラジンの実写版が公開されるという話はずいぶん前からしていて、きっといつものようにじいちゃんと行くのだろうと思っていたら、なぜか珍しく私が誘われた。

そんなに気乗りはしなかったが、まあ一度くらい観てみてもいいかな、くらいの軽い気持ちで映画館に出かけた。

アニメ版のアラジンをちゃんと通してみたことがないため、ストーリーはなんとなくしか知らないし、さすがにあの有名な主題歌くらいは聴いたことがあるけど、後はディズニーランドで暑さ寒さをしのぐため、ジーニーのアトラクションに数回入ったことがある程度だ。

予備知識ほぼゼロ、な状態でのぞんだ私は、のっけから衝撃を受けた。


かっ、かわいすぎるぞ!プリンセス、ジャスミン!!


これだけの美貌を持ち、誰もが羨む立場にありながら、聡明で孤独な魂を持った彼女は、ありきたりなプリンセスと違ってフリフリのドレスなんて着ない。きらびやかな衣装の下にパンツを履いて、エネルギッシュに踊り、側近には獰猛な虎を従え、決して女を売りにしない。

この映画は題名こそアラジンになっているが、完全にジャスミンの物語だ。

新しい時代は女性が自分の足で歩いていく、そんな今世界中で広がる動きと連動して、これまでのプリンセス像を一新するような、強く込められたメッセージ。

それを象徴するのが、彼女が劇中で唄いあげるワンシーン。


どうか、劇場で観てほしい。

いわゆる映画通、が素通りしがちな吹き替え版だが、今回ジャスミン役を演じた木下晴香さんの唄が、すごい。

人気の山寺宏一さんのジーニーは言うまでもなく素敵だけど、個人的にはこのジャスミンのシーンのためだけでも、吹き替え版で観る価値があると思う。スクリーンで体感する彼女の声には、YouTubeで観られるPRバージョンの5倍くらいの迫力がある。

世の母というものは、こどもが小さいうちは、海外映画は必然的に吹き替え版で観ることが多くなる。とかく評価の低くなりがちな吹き替え版だけど、思いがけずこんな出逢いがあるから侮れない。

と言いつつも、アラジンの世界にドハマリしてしまった私は、さっそく今日ひとりで字幕版を観に行ってしまった。ナオミ・スコットの唄もどうしても劇場で聴きたかったから。


そして、いまのところ未体験の4DXデビューを飾るなら、この作品しかない!ということで、なんだかんだあと2回くらいは観に行くような気がしている。


娘よ、こんな素敵な出逢いを私に与えてくれてありがとう。




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