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短歌

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記事一覧

髪を染めてもらうかわりに愚痴を聞くヘアカラーの香が溶けていく夜

明後日は娘の入学式 自分ではうまく染められない髪染めを夫に頼む 髪を染めてもらう間は動けな…

Mimipo
1か月前

取り壊し終わった土地の片隅で肩よせて咲く水仙の花

古い家が取り壊されて 広い更地が広がっている 何も無くなった空間 その端に 肩を寄せ合うよう…

Mimipo
2か月前
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紅梅の香りは優し春が降る枝から枝にメジロ遊べば

立春を超え、梅の花が満開になり 甘く優しい香りが 枝の間を飛び回るメジロと共に 春を感じさ…

Mimipo
2か月前
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中学のチャイムを聞けば思い出すライトノベルのような初恋

少女漫画を小説にしたような ライトノベルが図書室に置かれ始めたあの頃 少女たちの淡く幼い恋…

Mimipo
3か月前
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幼い日覗いてみた景色今もまだそこにあるビー玉の中

ビー玉をつまんで向こうを覗いた小さい頃 あの頃見た懐かしい景色は 今もまだ心の中にある ビ…

Mimipo
3か月前
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君が今日無事で一日過ごすよう胡麻を擂る手に力を込めて

お弁当を作りながら おまじないをかける 今日も良い一日を

Mimipo
3か月前
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ありがとうあなたの形見我が指に祖母の笑顔が映る金剛

母が昨日来訪し 先月亡くなった祖母が私に残してくれたと言って ダイヤの指輪を手渡してくれた 初孫だった私を誰よりも可愛がってくれた祖母の笑顔が 映っている気がした

祖母が逝き草刈るひとのなき畦に悲しき色の曼珠沙華さく

Mimipo
7か月前
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朝と夕心の点滴ひぐらしの声が聞きたい猛暑の今夏

実家で暮らしていた頃は 早朝と夕暮れ時には美しい声でひぐらしが鳴いた すぐそばの山から遠く…

Mimipo
9か月前
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初夏が残した雨のなごり香を縫うように鳴く六月の蝉

今年の六月初旬は大雨が降り まだそのなごりがあちこちに残る 空気さえまだ雨の香りを含んでい…

Mimipo
10か月前
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「気いつけてとばさんよにな」隣人の声で始まる今日の一日

毎朝、洗濯物を干しにベランダに出ると お隣のおばさんが 出勤する息子さんにかける声が聞こえ…

Mimipo
11か月前

眺めては袋に戻す思い出も賞味期限まで減らない土産

修学旅行から帰った娘 お土産をたくさん買ってきて みんなに配ってくれた 試食をして美味しか…

Mimipo
11か月前

触れるよな触れないような優しさで二重ガーゼのパジャマが包む

二重ガーゼのパジャマを初めて買った 驚いた 肌に触れると柔らかく 触れていない時でもガーゼ…

Mimipo
11か月前
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目が合えば「何よ」と言いて意味もなくほおふくらます思春期の花

今朝、何気なく顔を見ていると 「何よ?」と言う ほおをふぐのようにふくらませ 何やら不機嫌 どうかしたかと問うても 「別に」の一言 ああ、思春期の娘よ