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「気いつけてとばさんよにな」隣人の声で始まる今日の一日

毎朝、洗濯物を干しにベランダに出ると
お隣のおばさんが
出勤する息子さんにかける声が聞こえてくる
「気いつけて とばさんよにな」
息子さんの返事は聞こえてこないけれど
その後白い車で出勤していく
「気いつけて とばさんよにな」
いつも同じ抑揚でいつも同じリズムで
毎朝必ず同じ言葉をかけていることに気づいたのは
いつだったろうか
ここに住むようになって二十年
気づく前から多分
同じ言葉をかけ続けているのだろう
おばさんもずいぶん歳をとった
背中が曲がり
もうおばあさんという年だ
いくつになっても
子供のことを気にかけるのが母親というものだと
毎朝この声を聞くたびに
つくづく感じる
今日もまた一日が始まる

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