自社株買いについて知ろう!
決算発表などで企業がよく株主還元策の一つとして、自社株買い・消却の発表を行ったりしますよね。
市場では前向きに評価されがちですが
目に見えてキャッシュが入る配当金の増配と違ってイメージが湧きづらいところも。
今回はそんな自社株買いについて解説します。
このnoteでは
①自社株買いの仕組みが分かる
②自社株買いのメリット・デメリットを考える
これらを行っていきます。
✅自社株買いとはどういうもの?
自社株買いは、読んで字のごとくなのですが
株式を発行している企業自らが、株式を市場から買い戻すことを言います。
✅日本市場では自社株買いが活発に
24年3月決算の発表では、トヨタ自動車が1兆円の自社株買いを行うことを発表しました。
23年度は過去最高の自社株買い10兆円に到達。非常に活況となっているのが分かりますね。
✅米国株は自社株買いが活況
アメリカはさらに自社株買いが活発な市場です。
EPFRによると、23年米国企業は1兆ドルを超える自社株買いを行っています。自社株買い1兆ドルを超えは3年連続で過去10年間で4度目に。
1ドル150円とすると150兆円規模の自社株買いが行われているわけですね。
✅自社株買いを行う目的は?
では、なぜ企業は自社株買いを行うのでしょうか。
以下の理由などが挙げられます。
✅自社株買いを通じ企業価値向上を図る
自社株買いをすることで株価上昇につながる可能性があります。
それを順に考えていきます。
✅自社株買いの効果①ROEの向上について。
まず、ROEとはなにか?というと自己資本利益率のことを指します。
要するに上手く自分の資金を活用して利益を上げているかどうか、これを表しています。
企業の資金はおおまかに株式などの自己資本と借り入れや社債による他人資本に分かれます。
ROEは自分の資金でどれくらい効率よく利益を稼げているか。というものです。
言い換えれば、ROEが高いほど、経営効率がいい。と思われることです。
ROE(%)=当期純利益÷自己資本 ×100
このようにあらわされます。
自己資本から自社株は除外されるので自己資本が減少します。それによりROE向上が見込めるわけですね。
数字で効果を見てみましょう
日本では、このROEがとても重要視されておりこれを上げるために自社株買いを行うケースも多いですね。
✅自社株買いの効果②EPSの上昇・PER低下について
まず、EPSとPERについて解説します。
EPSは、1株当たりの利益のことをいい、
PERは、株価に対してどの程度の収益を上げたのかを測る指標です。
EPSが高ければ高いほど、効率よく稼げていることとなり
PERが低いほど、割安になっていると考えられます。
EPS=純利益÷発行済み株式数
PER(倍)=株価÷EPS
このようにあらわれます。
自社株買いを行う事で発行済株式数を減らすことで、EPSが高くなりPERが低くなることになりますね。
また数字で効果を見ていきましょう。
✅東証の要請について
東京証券取引所は2023年3月次のような発表をしています。
もっと資本コストや株価を意識した業務運営が求められており、
PBR1倍割れ問題などとも言われましたね。
自社株買いを行うことによって株価の上昇、要請への対応が期待されています。
✅一方でデメリットとされる自社株買いも
これまでのように自社株買いは、一般的にROEの向上やEPSの上昇といったいい効果を示すものですが、捉え方によってはデメリットとなることも。
設備投資や新規事業への投資の不足。
世界はどんどん新しいものへと変わっていく中、企業にはあらたな研究開発を行っていき持続的に成長をしてもらいたいと投資家は考えるものです。
しかし、その資金が研究開発ではなく自社株買いに向かうとなると成長に後ろ向きと捉えかねられないという側面もありますね。
24年5月アップルは1100億ドルもの自社株買いを発表しました。
もちろん株主への大きな還元も素晴らしい事ではあります。
一方で、マイクロソフトやアルファベットに比べ出遅れているAIへの投資に使った方が良いんじゃと言う声もありました。
✅まとめ
ここまで企業の自社株買いについて
基本的な仕組みやその効果、目的を解説してきました。
株価対策としての効果がありそうですよね。
今後も発表してくる企業は多いと考えられます。これを機に企業の自社株買いの発表も興味を持ってみてみてくださいね。
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