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歩道橋の上で

子どもの頃は面倒だった歩道橋
通学路にあって必ず使わなければならない
面倒だから下の道路を渡ってしまいたかったが
良い子の私は絶対に決まりを守っていた
いやいや守っていた

なのに今は歩道橋に上がるのが好きだ
少し空に近いし
少し運動になるし
少し不思議な場所だから

え?不思議?どこが?

そういうあなたは何も見ていない
いつもどこでも何も見ていない
歩道橋のまんなかで
空をみあげたり
遠くを眺めたり
下を見下ろしたり
手すりをさわってみたり
前から誰がくるか気にしたり
足元をみたり
そういうことをしていないから
そんなことをいうのだ

私は立ち止まって待っている
歩道橋のまんなかで
あの人がくるのを
ここでしか会えないあの人がくるのを
待っている
ただすれ違うだけだけど
それでも
待っている

やってくるのは私
すれちがうと
すれちがうと
入れ替わるような気がするの。
…気のせいかもしれない
気のせいかも


*山根あきらさんの企画に参加します



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