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Texture Memoryダイエットをしよう for Android (改題)

はじめに

VRChat Video Patchnotes 2023.1.2動画より

Texture Memoryがパフォーマンスランクに影響するようになりました。
ということで、ここはひとつ、いかに品質を落とさずにテクスチャー容量を減らすかを目指し、VRAMに優しいアバターにしていきましょう!
…と意気込んだところで、PC向けにはもう答えが出ていたので、そちらを紹介して終わりたいと思います。
https://qiita.com/lilxyzw/items/9aab99f976295971b8b0

Android(旧名Quest)プラットホームの場合

はい、という事で、本命行きます。
と言っても、テクスチャーの容量削減の基本は、解像度を落とす事です。これはAndroid向けでも同じです。まずは解像度を落とせるだけ落としましょう。解像度が1段落ちると、容量は1/4減ります。
その他細かいテクニックもPC向けと一緒なので、先ほど紹介した記事を参考にしてください。ではPC向けと何が違うかというと、圧縮形式です。

PC向けプラットホームでは、テクスチャーの圧縮形式には主にDXT/BCが使われます。一方で、Quest向け(Android)プラットホームでは、モバイルに最適化されたETC2/ASTC形式が使われます。
この圧縮形式の関係は似ていて、DXTとETC2はCrunch圧縮が使えます。BCとASTCはCrunch圧縮機能が存在せず、前者より新しい規格のため、より高品質(=劣化が少ない)です。

なお、最近のVRChatのSDKアップデートで、圧縮形式が無指定の時にASTCが選ばれる設定が自動適用されるようになりました。(手動でやる場合は下記画像参照)

デフォルトのテクスチャー圧縮形式指定

ここでETC2とASTCの違いを、bpp※と共に掘り下げてみましょう。
※bpp:1ピクセルあたりのビット量。小さいほど高圧縮率である事を示す

  • RGB Compressed ETC2 (PCでいうDXT1):4 bpp、品質設定による違い無し

  • RGBA Compressed ETC2 (PCでいうDXT5):8 bpp、品質設定による違い無し

  • RGBA Compressed ASTC 4X4:8 bpp、「高品質」の時に採用される

  • RGBA Compressed ASTC 6X6:3.56 bpp、「標準品質」の時に採用される

  • RGBA Compressed ASTC 8X8:2 bpp、「低品質」の時に採用される

ETC2は、A(アルファ)チャンネル(要するに半透明)が無いテクスチャーにはRGB ETC2形式が採用され4bppとなり、AチャンネルのあるテクスチャーにはRGBA ETC2形式が採用されて8bppとなります。
一方ASTC形式はAチャンネルの有無に関わらずRGBA ASTCが使われますが、代わりに品質設定に応じてbppと見た目の綺麗さが変わります。ここで注目すべきは、標準品質のASTC 6X6の時点でRGB ETC2より高圧縮率という点です。しかもETC2よりも綺麗。Crunchを使わないなら、ASTCにしない手は無いわけです。
更に詰めるなら、「低品質」に落とすのも良いでしょう。標準品質の約半分になります。
場合によっては、「高品質」にしたうえで解像度を1段落とす事で、綺麗さを維持したまま更なる容量の半減を狙えるかもしれません。

RGB Compressed ETC2
ブロックノイズが乗ってしまっている
RGBA Compressed ASTC 6X6
綺麗なグラデーションを維持できている

ETC2 Crunch圧縮について

Questアバターにはシェーダー制限とアバター容量10MBまでのハードリミットも存在する関係上、Texture Memoryがアバターのパフォーマンスランク悪化要因になる事は稀かとは思います。そのためどちらかというと、テクスチャー容量の削減はアバター容量を減らすのが主目的になってきます。
アバター容量の限界を詰めるうえで、あえてETC2 Crunch形式にして、少しでもアバター容量を削減したい需要はあるかと思います。しかし、PC版と同じくCrunchはVRAMには影響しません。そのうえ、アバタービルド時の圧縮と二重圧縮になるため、アバター容量削減効果が薄く、ASTC 8x8(低品質)にする方がたいていの場合低容量にできます。Crunch圧縮は分の悪い最後の掛けだと考えてください。

まとめると

  1. 全てのテクスチャー:解像度を落とせるだけ落とす

  2. 全てのテクスチャー:圧縮品質を上げたら解像度が落とせないか探る

  3. 全てのテクスチャー:(許容できる範囲で)圧縮品質を落とす

  4. 頂点シェーダー用(アウトラインやファーのマスク)のテクスチャー:Generate Mipmapsのチェックを外す

  5. アルファチャンネルを使わないテクスチャー:Alpha SourceをNoneにする

参考文献

https://qiita.com/lilxyzw/items/9aab99f976295971b8b0

https://docs.unity3d.com/ja/2021.3/Manual/class-TextureImporterOverride.html



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