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私は生きている

目を瞑ると自分の心臓の音が聞こえる

目を開けると私の瞳には天井が映っている

私の身体はこの広い広い世界に存在している

ご飯を食べて
夜になれば眠る

私は生きている
その事実を胸に抱いて

朝、ともだちにおはようと言う
あの人のことが好きなんだ、なんて話を聞きながら、並んで学校まで歩く

恋人と並んで歩くときに握る手は少し冷たくて
目が合った時、恋人が愛おしそうに私を見ていることに気づいて
唇が触れ合う時に感じる彼のにおいはいつもと同じで
私は彼のもので彼は私のものであるのだと思う


実家に帰ったとき「ただいま」というと
決まって台所から母が顔を出し
父の車から見る月は美しくて
ソファに寝そべってくつろぐ弟と猫は日常を思わせる

私は生きている
心臓の音が聞こえる

私の大切な人は
いつかいなくなる

命は有限だから

大切な人がこの世からいなくなってしまっても
私が生きているかぎり、
私の時間は進んでいく

いつか私の心臓が止まって
体が冷たく、硬くなって
私の目から光が消えたとしても
彼らの人生は続いていく

なんのためにいきているのか
それはわからないけれど

生きているということは
食べて
眠って
ともだちと笑い合って
恋人と手を繋いで
家族とご飯を食べて
私はそれを幸せだと感じる

私はそうやって生きている




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