本を読んでいた時代があった〜「おふくろの味」幻想③

1960年代半ば以降、「おふくろの味」が賞揚され、「おふくろの味」と郷土料理/郷土食は、長い間、伝承されてきたものだとされ、女性による伝承が規範化していった。
と社会学者村瀬敬子が指摘している。

本にも出てきているが、この年代は新しい調理器具や冷蔵庫の浸透もあり、新しい料理が生まれてきた。伝承というより、テレビやレシピを利用してやってみたというほうが多いのではないか?私も料理するときは、クックパッドをみながらである。

さて、そのような中、自分のために料理するという料理人が現れ、料理することは生きることそのものと伝えた料理人が人気を博した。「おふくろの味」という言葉は、影を潜めていく。原因のひとつは「おふくろの味」と名付けた料理本が売れなくなったことがことであろう。ジェンダーの問題、性別役割分担の議論にかかわって、非難の対象になることも多くなった。

「おふくろの味」は「おばあちゃんの味」と言い換えられたり、つくり手を男性に変えたりしながら、新しい形で消費され続けでいるのかもしれない。

「おふくろの味」という言葉が誕生した時、その意味するところは「持ち味」を生かしたおかずであった。
料理の担当者、継承の経路はいずれも男女問わない、家庭料理は家庭だけに閉じているのではなく、自然や文化、歴史や風土とつながり………料理は生きることを豊かにし、楽しむためにある。だから、自分の感性を信じて気楽にいこう、伸びやかに広がる21世紀の食の世界を予測している。

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